2015年 秋 北海道 釧路


4月から始まる私の川での釣りは、11月の北海道の釣りで終わるのが恒例になっている。今年で11回目の北海道釣行は、虹鱒を始め良型のアメマスと出会うことができた。釣果は例年ほどではないものの、その分キャストを工夫するなど技術的な進歩が感じられたのも収穫だった。幸いにも寒さは予想していたほどではなく、今年も楽しい釣行となった。

11月6日 金曜日 曇り

羽田発7時45分ANA4771便に乗るためには自宅を5時頃に出るのだが、途中のJRや浜松町からのモノレールは早朝にも関わらずいつもかなり混んでいる。そんな中を釣り道具満載の大きな荷物で移動するのは楽ではない。そこで今回は家内のアドバイスに従って、最寄りの駅から出ているシャトルバスを使うことにした。5時15分発のバスに乗ると、羽田空港までは首都高経由で1時間20分ほどで着くことができた。料金は1440円だったが、座ったままで空港の出発階まで連れて行ってくれるのでとても楽だった。第2ターミナルの航空会社でチェックインを済ませ、自動荷物預け機で荷物を預ける。この機械は今年から導入されたようで、機械の荷台に荷物を載せると自動で受け付け、クレームタグが印刷されて出てくる。身軽になったところで、待合所で空弁の朝食を済ませた。

釧路空港には予定時刻通りの9時20分に到着した。到着ロビーでガイドの中村さんと落ち合い、早速釣り場に向かうことになった。私はてっきりC川に行くと思っていたが、今日は阿寒川で虹鱒を狙うと告げられた。久しぶりの虹鱒釣りで嬉しくなる。阿寒川には30分ほどで到着し、すぐに釣り支度を整えて川へと向かった。


阿寒川は阿寒湖から流れ出ている大きな川で、初冬だというのにかなりの水量だった。前に虹鱒を狙ったときはプリンス系のニンフを使用したが、今回は持参してきていなかった。虹鱒にはエッグフライやビーズが有効だという知識があったので、とりあえず持参したビーズでやってみることにした。


ビーズはアラスカで購入したオレンジ色のUVビーズに蛍光黄緑で着色したものを使うことにした。今回が初めての使用なので果たしてうまくいくかは分からなかったが、やってみる価値はあるだろう。2.5号のティペットにビーズを取り付けて、早速キャストする。果たしてすぐにアタリがあったが、針の掛かりが浅かったようでバラしてしまった。残念!

気を取り直して再びキャストする。すぐに二度目のバイトがあり、すかさずラインを引いて合わせると強い引きが返ってきた。今回はしっかり針掛かりしたようだ。かなり強い引きで、流れの中に逃げ込もうとしていた。ドラグを調整しながら、魚の強い引きに竿をためながら耐える。


他の魚と異なり、虹鱒は最後まで抵抗を止めない。近くまで来たかと思うとまた走り出す。何とか近くまで寄ってきたので見てみると、40センチくらいのきれいな魚体の虹鱒だった。虹鱒だとこのサイズでも立派なファイターだ。これを専門に狙う釣り人の気持ちが十分に理解できる。やっと取り込んで記念撮影する。すぐに針を外して流れへと戻した。この時期にこのサイズの虹鱒に出会えたことに、まずは感謝!


最初の一尾に良型の虹鱒が釣れたので、その後に大きな期待が高まった。気をよくして暫く周囲のポイントでビーズを流してみたのだが、残念ながら魚からの反応はなかった。この時にビーズを変えるなりニンフで試してみるなりすれば状況が変わったかもしれないのだが、最初の一尾でうまくいったことが忘れられずに同じビーズを使い続けた。これが不調の原因だったかもしれない。


少し下流に移動して再び釣りを開始する。このような大きな川での釣りは一年に1回、ここ北海道でしかしないので最初はうまくキャストができない。使用しているフライロッドは6番で、リーダーには普段使わない2Bのオモリが2,3個付いている。秋田や山形の渓流ではロッドは3番で、オモリは使ってもB1個くらいだ。北海道釣行の初日は、まずはこの重装備に慣れることが大切だ。


お昼の時間になってきたので、さらに下流に移動してそこで少し釣りをしてから昼食ということになった。川に架かっている橋の少し上流に入って釣り下る。ここぞというポイントにキャストしてみるのだが、魚からの反応は依然なかった。


川の水温は5度、気温は6度で、河原には冷たい川風が吹いていた。私は4月から取り組んだ栄養管理が功を奏して、昨年より体重が12キロ減っている。私の釣り支度はもっと寒い環境でも持ちこたえてきたものだったのだが、余分な脂肪のない体にこの水温と気温はかなり効いてきた。

さらに下流に移動してアメマスを狙うことになった。中村さんの奥さん、淳子さんに40センチオーバーのハヤがかかる。この時期にここでハヤが釣れるのには驚いた。ハヤは最初のひとのしは素晴らしいが、すぐに大人しくなってしまうのが難点だ。中村さんによれば、アメマスが少なくなった分ハヤが増えているのだそうだ。ここらが潮時のようなので、本日はここで納竿となった。


釧路市内の「大喜湯」で冷え切った体を温める。金曜日はいつも混んでいるのだが、今日は比較的空いていた。夕食は市内の回転寿司店に行く。夕食の回転寿司は恒例になっているが、大漁港の釧路港を控えているせいかネタが充実していてとても美味しい。釧路に来ていてこれを外ことはできない。帰る途中にイオンに寄って、靴下とズボン下を購入した。明日は十分の態勢で臨まなくては。

11月7日 土曜日 晴れ時々曇り

4時半に目覚める。昨夜はあまり寒くなかったので良く眠ることができた。今朝の気温は3.5度で、比較的温かい。5時半に身支度をしてから白糠に移動する。6時半に白糠に到着して、駅前のバスターミナル駐車場に車を止める。ここで朝食を頂く。

8時にC川に向かって出発した。30分ほど走ってから道路脇の駐車場に車を止める。すぐに釣り支度を整えて、河原へと向かった。水量は比較的少なく、その分遡行は楽だ。



ここには前にも来たことがあり、釣果に恵まれたことを思い出していた。しかし、今日はアメマスからの反応はまったくない。釣れてくるのは白鮭ばかりで、これがかかると潜水艦を釣ったようで大変だ。5番のフライリールだとドラグをいくら強くしてもラインはどんどん出て行き、魚が止まるのを待つしかない。何とか騙し騙し岸へと寄せてくる。婚姻色を前進にまとったメスの白鮭だった。針を外して流れへと戻した。


C川に早々に見切りをつけて、S川へと移動した。しかし、ここも魚影はほとんど見られず少しキャストしただけで再びC川に戻る。近年、アメマスの遡上数はどの川も減っているらしい。河口の沖合に設置された鮭用の定置網には鮭と一緒にアメマスが入ってしまう。かつてはそれらはほとんど放流されていたが、近年はミール工場に持ち込まれているようだと中村さんが話していた。

川は減水しているし、アメマスの数が減っている中で釣りは難しい。ポイントもかなり限られてくるので、釣り人が重なるように攻め立てるようになるから魚はスレる一方になる。より高いレベルの釣り方が釣り人に求められていた。素早いメンディング、ラインの送り出し、フライがそこを這うようなライン操作などが必要になってくる。


やっとまとまった群れのいるポイントに入ることができた。ここではビーズではなくエッグフライの方がアメマスに好まれたようで、自製のエッグフライにアタリが出るようになった。さすがに60センチ以上の大型はかからなかったが、それでも55センチの良型のアメマスを釣ることができた。


入れ食いとまではいかないものの、同じ場所で5,6本の良型のアメマスがかかった。フライを同じラインに流していくというのは、実は容易ではない。適切なメンディングとラインの送り出しがないとフライは段々と流れのラインからずれてきて、魚がいる場所には届かなくなってしまう。しかし、流し方がうまくいくと魚は確実にバイトしてくる。


ポイントの上流側にキャストし、フライが沈むのを見ながら根掛かりしないように竿先を上げるかラインを引く。ここで竿先を上げ過ぎるとラインが手前によってきてしまう。また、目印が目の前を過ぎるとフライラインは段々と手前に寄ってきて流れのラインから外れてしまうので、ラインを送り出して流れ方を一定に保つようにする。こうすることで倒木の下にいるアメマスの前にフライを通すことが可能になる。エッグフライをビーズに変えてみたが、これらも良型がヒットした。


このポイントを含めて、その上流や下流に少し移動しながら釣り続けた。対岸の倒木沿いには相当のアメマスがいるようで、少し場を休ませると再び釣れだした。ビーズでの釣りのメリットは、釣り針は常に魚の口の内側に刺さっていることだ。魚へのダメージは比較的少なく、針を外すことも簡単だ。釣っては外しを繰り返しながら、釣りを楽しんだ。



私のアメマスのレコードは65センチだが、今回はそれを上回ることができなかった。それでも55センチのアメマスの引きは強く、6番ロッドを大いにしならせてくれた。


今年の9月に本州を縦断し北海道に達した台風は、漁業にも大きな被害を与えていた。C川では河口の沖合に鮭の定置網が設置されているが、これが台風により破壊されてしまった。そのため、かなりの数の白鮭が網から逃げ出して川に入ってきた。いつもならあまりこの川で鮭は見かけないのだが、今回は随所で鮭をみることができた。アメマスのポイントにも多数の鮭が入っていて(順序が逆で、鮭のポイントにアメマスかもしれない。)、アメマスではなく鮭がかかってしまうことが度々起きた。河原にも死んで打ち上げられた白鮭をよく見かけた。


昼食後、C川に戻って釣りを再開した。午前中より下流の場所で、川幅があってゆったりした流れの所だった。道路脇の空き地に車を止めて、早速釣りを開始した。


しかしアタリは遠く、キャストを繰り返しても魚からの反応はなかった。上流へと釣り上がったが、魚からの反応がないまま陽が段々傾いていった。


なんとか45センチ前後のアメマスを2本釣り上げたが、後が続かなかった。そのうちに鋭いアタリがインジケーターに現れた。すかさず合わせると強い引きが返り、大物を予感させた。しかし、強い引きは最初だけで、後はほとんど抵抗のないまま魚が寄ってきた。やはり大型のハヤだった。今回は虹鱒、アメマス、白鮭の3種類を釣っていたから、ハヤを加えて4目釣りとなった。時刻は4時を回って辺りはかなり暗くなってきたので、本日はここで納竿となった。


この時期、釧路周辺はシシャモ漁が本格的になる。早朝に沖合数百メートルの所を多くの漁船が漁をしているをこの時期に見ることができる。インターネットで調べると、シシャモは北海道の太平洋沿岸部にのみ生息する日本固有の魚となっている。私たちがスーパーなどで一串298円くらいで買っているシシャモは全て輸入で、ノルウェーやカナダなどからやってくる。両方を食べてみると違いは歴然で、本物のシシャモの味は格別のものがある。それで、アメマス釣りに来たときのお土産はシシャモを買って帰ることにしている。

特に白糠のシシャモは型が良く美味しいということなので、夕食の前に地元の店に寄ってもらった。丁度良い型のシシャモが水揚げされたということだったので、4パック予約し明日のお昼頃に取りに来ることにした。

今夜の夕食は「タコツブステーキ」を頂くことにした。白糠町では高速道路の延伸を機に、町おこしを図って地元の名物作りに取り組んでいる。タコブツステーキもそのうちの一つで、地元のタコとツブガイを活用して、調理したタコとツブガイの丼物を今年から売り出した。そこで今宵の夕食にと何店かあるレストランの一つに出かけることにした。

白糠恋問の道の駅にあるレストランで三人ともタコブツステーキを注文したのだが、何と一日10食限定で既に売り切れとのことだった。10食では夕食まで残っているはずがない。残念だったが、別の物を注文しなくてはならなかった。食後、大喜湯で汗を流してから、キャンピングカーに戻って眠りについた。

11月8日 日曜日 雨

6時に起床する。今朝の気温は零度近くで、十勝地方では雪が降っているらしい。ここ白糠は起きたときには曇りだったが、キャンピングカーの中で朝食を頂いているうちに雨が降り出した。川は減水しているので雨は好材料だが、冷たい雨の中での釣りは厳しいものがある。朝食を済ませてから、7時半にC川に向けて出発した。

最初は昨日の最後のポイントから釣り始める。川の中を注意して見てみると何尾もの魚がいるのがわかる。エッグフライをティペットに結んでキャストを開始する。しかし、魚からの反応は暫くなかった。少しずつ上流に移動しながらキャストを続けると、やがてインジケーターに反応が現れた。フィッシュ オン! 良型のアメマスだった。


この1尾から魚にスイッチが入ったようで、対岸沿いの深みにフライをを流す度に良型のアメマスが釣れるようになった。エッグフライだけでなくビーズへの反応も良く、45〜50センチ前後の良型のアメマスが釣れだした。


やがて本日最大の55センチのアメマスが釣れた。流れに乗って目の前を通過したインジケーターがすっと止まる。魚のバイトだ。すかさずラインを引いて、しっかりと針掛かりさせる。竿には魚の重みがぐっとかかり、満月のように絞られる。魚の動きに合わせながら、少しずつラインをたぐっていく。このくらいの大きさになると、簡単には寄ってこない。行ったり来たりを繰り返しながら、徐々に魚を引き寄せてくる。大物のアメマスだった。写真を撮ってから、川にそっと戻した。


雨は相変わらず降り続いていた。しかし、魚からの反応がある限り、釣りを止めるわけにはいかない。さらに上流のポイントへと移動して釣り続けた。ポイントの手前と向こう側の水の中に障害物が有り、その間が深みになっていて魚が溜まっている場所だった。障害物を避けながらの釣りなので、ライン操作が難しそうだ。


キャストやライン操作は難しいが、その分フライをちゃんと流すことができればアタリはあった。溝のような場所の底近くにアメマスがいて、そこにビーズを流していくと食いついてきた。ここでも良型のアメマスを何本も釣ることができた。


少し時間が立ったので、最初の場所に戻って釣りを再開する。場が休まっていたようで、再び釣れ始めた。型は少し小振りになっていたが、小気味よく竿を絞ってくれた。釣ってはリリース、釣ってはリリースを繰り返す。いつもの北海道のアメマス釣りの感じが戻ってきたようだった。


雨は一向にやまず、却って雨足が強くなってきた。この時期のアメマス釣りは雪も覚悟しなくてはならないが、痩せた身には冷たい雨はこたえる。アタリも段々と遠ざかってきたので、この辺で納竿することになった。雨の中の釣りは、「もう止めたい。」という気持ちと「もう少し頑張るか。」の二つの気持ちが葛藤しており、何かの機会でどちらかに進むことになる。今回は帰る途中でコンビニに宅急便の荷物を預ける時間が必要だったので、これを言い訳にすることにした。


中村さんはアメマスの激減を心配していたが、私は今回の釣果に満足していた。普段の渓流釣りで大物に出会えないせいもあるが、ここで釣れるアメマスの数とサイズには十分なものを感じている。釣り方がうまくなれば、さらに釣果を伸ばすことも可能だ。また1年、時間をかけて腕と仕掛けの向上を図るのは大いなる楽しみでもある。そんなことを考えながら、釧路発日本航空542便に乗り込んだ。

北海道の釣りに戻る