北海道の釣り 2013


11月15日 金曜日

自宅を午前5時30分過ぎに出て、中央線で神田、そこから山手線で浜松町に向かう。午前7時のモノレール浜松町駅は、通勤と出張、それに遊びの人々などでごった返していた。こんな中で釣具や冬用の釣り支度で一杯になった大きなバッグを引いているのは気が引けた。

釧路行きの日本航空便は、羽田空港の32番ゲートから出発する。32番ゲートといっても出発階にゲートはなく、送迎のバスで飛行機まで向かうことになっている。1階のバス待合室で搭乗開始時間まで待ち、時間になるとバスで飛行機まで向かう。トラックを改造した移動式のタラップを登り、飛行機に乗り込んだ。

羽田発8時10分釧路行き日本航空1145便は、満員の乗客を乗せて定刻に離陸した。関東地方を北上し東北地方を縦断した後に、北海道のえりも岬沖合を北東方向に飛ぶ。昨年は増水で泥水のようになった川がいくつも窓から見えたが、今年はどの川も大丈夫のようだ。

飛行機は定刻通りに釧路空港に到着した。到着ロビーには今年もガイドをお願いする「フィッシングガイドかわせみ」の中村夫妻が待っていてくれた。大きな荷物を車に積み込み、釧路空港を出発した。

釧路市のパークゴルフ場(冬期休業中)の駐車場でトレーラーを切り離し、釣り支度を整えてからO川に向かった。この川は最初の北海道釣行で訪れた川だが、最近はS川やC川での釣りが多く、久しぶりの再訪だった。2号のティペットにエッグフライを結んで釣りを開始する。今年は遡上数が少ないとの話だったので、果たしてどうなるかと一抹の不安を抱えながらキャストを開始する。

注)色付きの枠で囲まれている写真は YOU TUBE にリンクしているので、クリックすると動画が見られます。


最初のポイントで数回キャストするうちに、インジケーターに反応があった。すかさず合わせると小気味の良い手応えが返ってきた。始めの一尾なので慎重に寄せてくると、良型のアメマスが顔を見せてくれた。


しかしアタリは続かず、場所を移動することになった。この時期の川の水は少ないので、少しでも水深のあるところを探してはキャストを繰り返す。水深はなくても流れはかなりあるので、3Bを1つと2Bのオモリを3つ付ける。一年ぶりの雨鱒釣りでこの重さのキャストとなると、なかなか思うように振ることができない。それでも何とかキャストして、ポイントを流していく。午前中でさらに2尾を釣り上げた。



車に戻って昼食をとっていると、天気予報通り、午後から雨が降り出し風も強くなってきた。午後からは少し上流に移動することになった。川沿いの道の端に車を止めて、降りしきる雨の中を河原に下りていく。


雨だけならまだしも冷たい川風が吹いていて、釣り用の手袋をしていてもすぐに手がかじかんでくる。今日の魚のアタリはとても小さく、インジケーターの僅かな変化も見逃すことはできない。1センチか2センチ程度のインジケーターの動きで合わなくては魚が釣れないのだ。

エッグフライを上流にキャストし、オモリが沈むのを待ってラインのたるみを取るようにゆっくりリトリーブしてくる。やがてインジケーターがピクッと僅かに動く。すかさず竿を立てながらラインを引いて合わせる。強く重い引きが返ってきた。これは大きい。今までの50センチクラスの雨鱒とは違う手応えだ。竿の反発力で魚の引きに耐えながら、少しずつラインをたぐり続ける。川の深みから浅瀬へと引き寄せてくる。姿が見えた。楽に60センチを超える良型の雨鱒だった。


この1尾を釣りたくてここにやってきたのだ。苦労が報われた瞬間だった。写真を撮ってからそっとリリースする。ここは良いポイントだったようで、その後も続けて中型の雨鱒が釣れた。

少し上流に歩いて移動する。時間的に今日最後のトライだ。相変わらず雨と風が続いていて、次第に戦力が衰えてくる。そんな時にまたアタリが出た。これも強くて重い手応えが返ってきた。先ほどと同じような引きをしている。ティペットは2号と心許ないが、竿が十分に魚の引きを受け止めている。ラインを少しずつたぐり、魚を岸に寄せてくる。これも60センチクラスの雨鱒だった。

釣れそうなポイントを探すが見当たらない。 河原の花。

風が強いとキャストの方向が定まらず、向かい風だとラインが押し戻されてしまう。何とか負けまいと知らず知らずに腕に力が入ってしまった。風雨が相変わらず続いたがこのポイントで暫く粘り、60センチ級を含めてさらに数尾追加して納竿となった。


釧路市内の釣具店で買い物をした後に、回転寿司での夕食となった。釧路に来る楽しみの一つとして、この回転寿司がある。東京の回転寿司のように画一的な寿司ネタではなく、釧路漁港から直送されたような地方色豊なネタで溢れている。価格も手頃なのが嬉しい。

食後のお風呂は釧路市内にある天然温泉「大喜湯」だ。ここには大浴場をはじめ、石造りの露天風呂、サウナ・ジェット風呂などがある。料金が手頃なこともあってか、地元の人が家族連れで訪れていた。大きな浴槽に浸かりながら、強風の中で酷使した腕の筋肉をほぐし、十分に暖まってからトレーラーに戻る。午後9時就寝。今回の釧路はとても暖かい。快適な夜になりそうだ。

11月16日 土曜日

5時30分起床。雨は未明までに上がっていたが、かなりの雨量だったので川への影響が心配された。朝食を早々に済ませてから、昨日と同じO川に向かう。途中にS川やC川があるので、様子が良ければそこで釣りをすることになっている。

国道38号を南西に下っていくとS川やC川を横切る。車窓から川を見ると、無残にも茶色の濁流となっていた。とても釣りができる状態ではなかった。予定通り、O川に行くしかない。国道38号を右折して川沿いを走る。下流域からまずは釣り開始。昨夜の雨の影響で、川は増水していてしかもかなりの濁りが入っている。


ここでポイントを移動しながら、2カ所でそれぞれ1尾ずつ釣る。今日はビーズでやっている。直径6,7ミリのビーズを着色してイクラのように見せたもので、これをティペットの針の上5センチくらいのところに固定する。後はエッグフライと同じように流せばいいだけだ。本物のイクラではないから、アタリを見逃してはまず釣れない。アメリカでは一般的な釣り方だが、日本ではやっている人は少ないかもしれない。


ビーズでの釣りを少し解説したい。ビーズは針に刺して使うのではなく、針の上5センチくらいの所でハリスに固定する。魚はビーズをイクラだと思って吸い込む(食いつくのではない!)。吸い込むときに釣り針も一緒に魚の口に吸い込まれる。しかし、すぐに偽物と分かってしまい、ビーズを吐き出す。この時、釣り針にはヒネリ又はカネリがついているので、魚の口から出るときに口の内側に引っかかる。こうして魚が釣れる訳だが、餌釣りの人にはこの仕組みがなかなか理解できないようだ。

魚がイクラを食べるときにイクラを噛みながら食べるのではなく、まずは吸い込んでから食べるということが理解できれば、このシステムがいかに合理的か分かるだろう。また、ほとんどの針にはヒネリ又はカネリがついているものだが、これが針掛かりの決め手になっていることも大切なポイントだ。針は「環付きチヌ1号又は2号」を使っている。

対岸の張り出した枝に引っかからないように注意しながらキャストを続ける。対岸が深みになっていて、岸沿いにフライを流せればいいのだが、これがなかなか難しい。キャストが難しい分、流せればアタリがやってくる(右下の写真が動画。)。


さらに上流に移動したがアタリが少ないので、少しでも濁りの少ない支流に足を伸ばしてみた。支流といってもかなりの規模の川だが、既に濁りはかなりとれていて、本流とは明らかに水色が違う。しかし、雨後の増水でポイントが絞りづらくアタリが出ない。しばらく粘ってみたがだめだった。 魚はどこに行ってしまったのだろうか。


だいぶ時間がたったので、そろそろ本流の濁りも薄れてきたのではと勝手に期待しながら本流に戻る。車を河原まで乗り入れて、その近くを攻めてみたがポツリポツリとやや小型のアメマスが釣れただけだった。


車を止めた所まで戻り、河原で昼食をとることになった。朝食時にあたためて新聞紙にくるんでおいたおにぎりとけんちんうどんのランチだ。おにぎりはまだ暖かく、また寒いときに熱々のうどんはありがたい。まさに五臓六腑にしみるようだった。


昼食後、釣りを再開。少し下流に歩いて移動して、増水で川幅が広くなった所から釣り始める。今日はエッグフライに代えて、ビーズをメインにして釣りをしている。この日のために昨年から作りためたもので、自分的にはかなりの自信作だったのでこれで大物が釣れたらという期待があった。


この場所は正解だったようだ。ここはというポイントを流すと、すぐにアタリが出始める。ビーズへの反応が上々で、60センチの雨鱒が釣れた。


昨日とは打って変わり、天気は快晴で風もほとんど吹いていない。曇や雨の方が釣りには向いているのは分かっているが、晴れた小春日和の中で釣りができるならそれに越したことはない。決して大漁を望まないし、時々でいいから釣れてくれれば幸せというものだ。



入れ食いという訳にはいかないが、ポツポツと断続的なアタリがある。ビーズは相変わらず好調だ。午後3時頃まで釣り続け、10尾くらいの雨鱒を釣ることができた。40センチから50センチクラスの雨鱒なので、数釣れると腕が痛くなってくる。贅沢な話ではあるが、ここらが潮時のようだ。


夕食は釧路市内の焼肉店に行く。各自定食を注文し、さらに追加した肉まで平らげて満腹になる。食後、昨日と同じ大喜湯に行く。ここの露天風呂は隔日営業で、今日は露天風呂の日だった。2階にある露天風呂に浸かり、一日の疲れを癒す。好きな釣りをして美味しい食事を頂き、仕上げは露天風呂。これ以上の幸せはない。9時30分に就寝。今夜も暖かい夜になりそうだ。

11月17日 日曜日

北海道釣行の最終日だ。少しでも長く釣れるようにと、今朝は4時30分に起床し、5時に出発する。車とトレーラーは昨夜から釧路市街に止めていたが、少しでも釣り場に近いようにと国道38号沿いの道の駅「しらぬか恋問」に移動し、ここでトレーラーを切り離してO川に向かった。


車窓からC川やS川が見えたが、相変わらず濁りがきつくて釣りになりそうに見えなかった。中村さんの友人から電話が入り、一昨日の雨はC川流域を中心に降ったそうで、C川流域はしばらく釣りは難しいとの情報がもたらされた。今日もO川での釣りになった。


天気は曇だが、昨日の好天が放射冷却を起こしたようで河原はとても寒い。冷たい川風が吹いていた。中村さんが釣り場を慎重に吟味して、ここぞというポイントに入る。最初はなかなか反応がなかったが、やがてビーズにアタリが出始める。大型はこないものの30センチから50センチの雨鱒が釣れだした。


しばらく釣り続けているとビーズへの反応がなくなってきた。ここで明るい色のエッグフライに交換する。するとまたポツポツとアタリが出始めた。雨による増水で普段は河原だった所を水が流れ、そこでも雨鱒が釣れてくる。水深や水量に合わせてオモリを足したり減らしたりしながら釣り続ける。


アップクロス、ダウンクロス、トウィッチングなど工夫をしながら釣りをする。時には腰近くまで水に浸かりながらの釣りだが、これでアタリが出るのでやめられない。しかし水温は5度くらい、しかも流れは結構あるから楽な釣りとは言えないが、一尾釣り上げるとさらにもう一尾と川に向かってしまうのだ。


手がかじかみそうになりながら正午くらいまで釣り続けた。しかし、帰りの飛行機は午後3時25分なのでここらが潮時だ。午前中だけの釣りだったが、10尾以上は釣れただろう。川の状況を考えれば申し分のない釣果だった。


ここで納竿にして、恋問の道の駅に戻ることになった。車まで戻り、釣り竿を畳み、ウエダーを脱ぐ。このウエダーを再び着るのは、来年の4月の秋田だろう。


バッグに釣り道具をしまい、着替えを済ませる。昼食後、釧路空港まで送って頂いた。3日間の北海道釣行は瞬く間に終了した。もっと長くやりたい気持ちもあるが、意外に体力が必要なことから私には3日間くらいがいいところかもしれない。来年も準備を十分にしてやってくることを誓って、釧路航空から飛び立った。

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