北海道の釣り 2009


2009年11月20日、羽田発19時30分の日本航空545便は、予定より15分遅れて羽田空港を飛び立った。機内は出張帰りのサラリーマンや連休を北海道で過ごそうという乗客で満席だった。

千歳の到着ロビーで中村さんと一年ぶりに再会した。中村さんは、私の北海道釣行で毎回お世話になっている「かわせみ」のフィッシングガイドで、今年もお世話になる。駐車場で奥さんの淳子さんが待っていてくれた。車に釣り道具でふくらんだ大きなバッグを積み込んで出発した。

国道36号から日高自動車道を経て、国道235号に入る。道の駅「サラブレッドロード新冠」で車は止まった。今夜の宿泊地だ。車からトレーラーを引き離し、寝るための支度に取りかかる。二人は手際の良く支度を完了して、私はトレーラーのベッドに潜り込む。明日からの釣りのことを考えているうちに、いつの間にか眠りに落ちた。

11月21日

朝6時に目覚める。外を見てびっくり。辺りは一面の雪景色になっていた。昨夜、空港についた時は舞う程度だった雪が、一晩で積もったようだ。昨年も同じ時期に雪に降られていた。

雪の新冠 気温はマイナス○度

昨夜途中の道でも小雪が舞っていたが、それが積もったのだ。トレーラー備え付けのガスストーブを点火する。

トレーラーの窓から外を見る 今回用意したエッグフライ

淳子さん手作りの朝食を頂く。いつも心のこもった工夫あふれる食事を頂けるのは嬉しい。食後、車にトレーラーをつなぎ、一路、広尾町豊似を目指す。国道236号、通称ナウマン街道沿いに、北海道開発局帯広開発建設部の豊似防災ステーションがある。この脇にインフォメーションセンターがあって、トイレと駐車場が整備されている。ここでトレーラーを引き離し、今日の釣り場であるR川に向かった。

R川は日高山脈・襟裳国定公園の十勝岳、R岳、双子岳を水源に発し、十勝港のすぐ北で太平洋に注いでいる。冬でも水量が豊富で、たくさんの鮭やアメマスが遡上してくる。川の近くに車を止め、ウエダーを穿いていよいよ釣り開始だ。

河原は雪が積もっていて、周りの木々も白くなっていた。まさに北海道の釣りという風情の中で、3Xのティペットにエッグフライを結んで釣りを開始する。水量と水流を考えて、3/0のオモリを二つつける。一年ぶりなのでキャストにとまどう。

防寒防水装備で身を固める 真冬のような景色

雪景色 ポイントに向かう

水の厚い流れの手前から流す。流心、流れの向こうと流していくと、やがてインジケーターがすっと止まる。アタリだ。すかさず竿を立てラインを引く。強い引きが返ってきた。手応えから大物の予感がする。慎重にラインを巻き取ると、やがて魚体が見えてくる。大物ではなかったが、丸々と太った40センチ位のアメマスだった。サイズは小さくても太っているので、引きはとても強い。

下の左の写真をクリックすると動画が見られます。
ポイントに振り込む 強いアタリが返ってくる 動画です

良型のアメマス 丸々と太っている

上流側には釣り人が入っていたので、下流側のポイントに移動する。かじかむ手で何度かキャストするがアタリが遠いので、上流側に移動する。防寒対策は十分にしているので体は寒くないが、手は手袋をしていても指先がかじかんでくる。岸辺の雪を踏みながら上流のポイントを目指す。すでに釣り人はいなくなっていた。
R川の流れ 雪の積もり河原

少しでも流れの厚い所、緩急の流れの境、などを狙う。フライがポイントを適切な水深と速さで通過できるように、オモリとインジケーター下のリーダーの長さを、水深、水流に応じて変えていく。

流心の向こう側に振り込む インジケーターがバイトを伝える

ロッドで強い引きを溜める 手前側に寄せてくる

これも良型のアメマス 雪の中でも良型ににっこり

このポイントでは型のいいアメマスが数尾釣れた。雪でてはかじかむが、アタリがあると寒さを忘れてしまう。下の左の写真をクリックすると動画が見られます。

動画「雪の中のキャスト」 画面をクリックしてください 55センチくらいかな

昼食のために戻る途中、岸辺には蕗の薹が顔を出していた。北海道では年二回蕗の蕗の薹が採れるとのことだった。雪が降るようになってからでも、蕗は成長し続けている。

蕗の生える河原 蕗の薹

午後からはR川の下流部に移動する。川を横切ってポイントに向かう。水深は膝頭ほどだが水は澄んでいて、川底の石がはっきり見える。キャストするとすぐに目印がスーッと止まる。合わせると強い引きが返ってくる。きれいな魚体のアメマスだった。

堂々の流れ きれいなアメマス

何尾が釣った後、目印がグズグズッと止まる。合わせをくれると重たい引きが返ってきた。あっ、これは鮭だ。この川では昨年も鮭を釣っていたから、ずくにこれは白鮭だと分かった。慌てず、無理しないでラインをたぐり始める。リールのドラグも締め直した。やがて60センチくらいの白鮭が姿を現した。ブナ色は出ているものの、きれいな魚体の鮭だった。写真だけ撮らせてもらい、リリースした。

今年もかかった白鮭 精悍な顔つき

アタリが芳しくないので、一気に河口近くまで移動することになった。

見事な川だが、本日のアタリは渋かった 河原の冬景色

R川の河口近くで釣りを再開する。ここは昨年も訪れていた。川のすぐ近くまで車で乗り入れられる。車から降りると、その場で釣り開始。目の前のポイントで数尾あげる。

写真の奥には太平洋が見える。R川の河口近く R川

護岸沿いに釣り下っていく。足場がいいので釣りが楽にできる。こんなに楽にできて釣れてしまい申し訳ない気分になる。護岸沿いの深みを選んでキャストする。

ここは足場がいいので釣りも楽々 中型のアメマスが続いて釣れる

護岸沿いにはアメマスがいる 護岸沿いの深みで釣れる

河口近くまで釣り下る。時刻は4時半近くになり、ここで納竿。夕闇が迫っていた。陽が落ちると気温は一気に下がる。釣り道具を車に仕舞いながら空を見上げると、暮れかかる空に三日月が出ていた。

夕闇近づくR川 寒空に浮かぶ三日月

今夜の温泉は、幕別町のナウマン温泉だ。車にトレーラーをつないで、一路幕別町の道の駅を目指す。幕別町の道の駅「忠類」は国道236号沿いにあって、ナウマン象記念館とナウマン温泉を併設している。

道の駅の看板 周辺施設の一覧 道の駅「忠類」

冷えた体を温泉で温めてから、館内のレストランで夕食をとる。トレーラーに戻り、今日の釣りを反省しながら眠りについた。

今回活躍したフライ カセットストーブ 小さいけれどハイパワー

11月22日

朝6時起床。外の気温は零下7度。ストーブをつけて室内を暖める。夏はキャンピングカーやトレーラーなどで賑わう北海道だが、さすがにこの時期、我々以外のキャンパーは見あたらない。ゆっくり朝食を取ってから出発する。今日はえりも町のS川だ。この川は、豊似岳から発して、えりも岬のあるえりも町の北東部を流れている。

S川 S川 上流を臨む

R川などから比べるとこぢんまりしているが、熊は濃いようだ。一昨年の11月にえりも町目黒のS川さけ・ますふ化場の箱罠に、体長195cm・体重520kgの巨大ヒグマが入っていたそうだ。ふ化場では遡上したサケを蓄養池で採卵用に飼育してる。そのサケを狙ってヒグマが出没。そのため鉄製の箱罠を昨秋設置したところ、その年には4頭が捕獲されたという記事が北海道新聞にあった。ポイントに向かって移動中、川底にクマが食い散らかした鮭が沈んでいた。

今日はどの色のフライがいいのか 魚を浅瀬に誘導する

深みがポイント 熊に食いちぎられた鮭

人気の高い川なので、川沿いに沢山の足跡があった。また、鹿やキツネなどの足跡も沢山見られたが、幸い熊のものは見えなかった。ポイントを何カ所か探るが、アタリは少なかった。

S川の河原 下流側を臨む

最初の入川地点に戻る。少し上流の左岸側に支流が流れ込んでいて、その上流にふ化場がある。そこまで車で移動する。ふ化場の少し下流にヤナが設置されていて、遡上してきた鮭はヤナによってふ化場の水路へと自然に誘導されていく。そして時々熊も誘導されてくることになる。

支流にあるふ化場 川の下流にヤナが見える ヤナ 写真の奥の方がふ化場の入口になっている

午後からR川に転戦する。川が大きいので、多少先行者がいても釣りになる。ただ、朝から釣り人のプレッシャーを受けているので、手前より奥の方の流れに移動している。流心の向こう側を釣るので、絶えずメンディングの必要がある。

C川 C川

釣り場に応じて水深、流速は絶えず変化するので、オモリの調整、キャストの着水地点をいつも頭に入れておかなくてはならない。流心、流れの向こうを丹念に探っていく。

ここで次々にヒット 流れの手前、流心、奥と攻めていく

今日は天気がいいので釣りが楽しい ポイントには間違いなく魚がついている

さすがに魚の濃いR川。50センチ前後の太ったアメマスがフライに食いついてくる。僅かの間に良型のアメマスを5,6本釣ることができた。

元気なCのアメマス ここのアメマスも太っていて引きが強い

午後4時過ぎ、風が冷たくなってきたので納竿した。今夜の温泉は大樹(たいき)町の晩成温泉だ。ここのお湯は、国内でも有数の濃度を誇るヨード泉(同温泉パンフより。)だ。昼間なら浴槽から太平洋が見えることになっているのだが、あいにく夜なので見えない。ヨード泉のミネラルを体一杯吸収した後は、併設の食堂で夕食を取った。

晩成温泉 夜の道の駅「うらほろ」

今夜の宿泊地は、国道38号沿いにある浦幌町の道の駅「うらほろ」だ。ここは今年の9月にオープンしたばかりで、トイレには木材をふんだんに使用していて真新しい木目がきれいだ。温泉で暖めた体が冷えないうちにトレーラーの寝床に潜り込んだ。

道の駅「うらほろ」 「うらほろ」全景

11月23日

今朝は零下2度くらいなので、昨日よりは暖かく感じられた。手作りの朝食をゆっくり頂いてから、出発する。今日の釣り場は、白糠町の中央部を流れるC川だ。北海道で初めてアメマス釣りをしたのは、この川のはるか上流部だった。

C川下流部 滔々と流れるC川

冬季ながら水は滔々と流れているが、川の止水部分は薄氷が張っていた。

ポイント 水の流れがない所は凍り付いている

初めてすぐにヒット これだから寒くても北海道だ

水温は1,2度くらいだが、魚の活性は高い。ここというポイントを流すとアタリがくる。サイズも40〜55センチくらいの良型で、太っているので引きは強烈だ。ティペットは最初は1.5号だったが、途中から2号に変更している。根掛かりしない限り切れることはない。

雪にまみれるアメマス 55センチのアメマス

強い引きに耐えて浅瀬へと誘導する 平均サイズ50センチ

良型のアメマスが次々釣れる これも良型

お昼近くになり、そろそろ納竿の時間になったが、最後のポイントで入れ掛かりになった。深さのある瀬の中を流すと2回に1回アタリがくる。続けて10本近く釣っただろうか。もう十分と思っていると、上流側で釣りをしていた中村夫妻に続けてアタリがくる。

本日最高のポイント ほぼ二人同時にヒット

5番のロッドが満月のようになっている。魚はなかな寄らない。どうにか寄せてくると二人とも60センチクラスの大物。久しぶりの良型アメマスで、見ていた私も嬉しくなる。私はルースニングでの釣りだったが、二人はアウトリガー。流れる層が微妙に違うようで、中村さんのロッドを借りてキャストをすると、私にも55センチくらいの大物がヒットした。大物はより底近くに定位しているものと思われる。それにしても魚の濃いポイントだ。

暴れる大型アメマス 水がきれいなので体表の斑点までよく見える

ようやく近くまで寄せる 60センチ級アメマス 2本

アウトリガーで釣れた55センチのアメマス。4コマ写真で再現。

フィッシュ オン! 走る大型アメマス

浅瀬へと寄せてくる 今回最大のアメマス

午後、釧路空港まで送って頂いた。年に1回の北海道アメマス釣り。確かに寒いが、この寒さの中でなくてはあの大物アメマスに会えないとなれば、防寒対策を十分にして来年も来ることになるだろう。

来年も来るしかないな

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