北海道のアメマス、鮭釣り


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忠類川 トレーラー O川のアメマス

11月11日

午前7時55分、羽田空港を離陸した日本航空1141便は、定刻通り釧路空港に到着した。たくさんの観光客とともに、数人の釣り人とハンターが到着ゲートからロビーへと繰り出した。

出迎えの旅行会社の人達に混じって、日焼けして精悍な顔立ちの人が手を振っている。中村さんだ。今回の釣行でガイドをお願いしている北海道フィッシングガイドかわせみの中村さんが出迎えてくれていた。車で待っていた奥さんの淳子さんと挨拶を交わした後、トレーラーを牽引するランドクルーザーに乗り込んだ。いよいよ初めての北海道の釣りが始まる。

アメマスとの対面

釧路空港を出た車は、国道38号線を西に向かう。目指すはO川だ。この川は、O町(2005年10月11日の合併で釧路市になった。)の東を流れ、太平洋に直接注いでいる。

町立ふれあいの森の駐車場に車を止めた我々は、まずは昼食。牽引されていたトレーラーにはキッチンがついていて、そこで煮炊きもできる。お昼は手作りのチャーハンとクラムチャウダースープという豪華版。トレーラーの中で中村さんご夫婦と頂いた。

このトレーラーにはベッドに早変わりするテーブルと2組のバンクベッド、トイレに収納庫もついている。広大な北海道を釣りして歩くには、宿に泊まっての釣りは何かと効率が悪い。ホテルや旅館の位置に拘束されずに、釣り場を自由に選ぶことができるこのスタイルは極めて合理的といえるだろう。

四駆とトレーラー 6番のロッドとリール

食後、釣り支度を整えて、いよいよ釣り開始だ。6番のフライロッドにフローティングライン。3Xのリーダーの上部にインジケーターをつけ、4Xのティペットを結ぶ。フライは大きめのエッグフライで、リーダーに3Bのスプリットショットを2つつける。いわゆるルースニングでアメマスを狙う。

ポイントは橋の下の流れ出しで、左岸側の深場だ。いつも大物が潜んでいるところとのことで、ポイントの上流にキャストし、オモリが底を打つのを感じながら流れに合わせて流していく。オモリがついたラインのキャストは難しく、なかなか上手にポイントに流せない。何回かキャストしているうちにインジケーターが止まった。フィッシュオン!

アメマス ヒット!


6番のロッドが満月のように曲がって、魚は下流に向かって走る。慎重にラインを引き寄せる。すらりとした体形に白の斑点が散らばる、46.5センチの美しいアメマスだった。

初の大物 46.5センチのアメマス

アメマスはイワナ属の渓流魚で、淡水域に留まるものと降海型がいる。北海道から秋田あたりまで分布するようだが、東北では一度もお目にかかっていない。というか、中型のアメマスとイワナを区別することは難しい。秋田の渓流で、ときどき斑点の鮮やかな岩魚にお目にかかるが、ひょっとしたらそれがアメマスなのかも知れない。

支流?にて 支流?にて

その後、45センチ前後のアメマスを何尾かあげることができたが、アタリがやや遠ざかったので場所を変えることになった。支流をいくつか攻めてみたがアタリが全くなかったので、O川の下流部を狙うことになった。川沿いの牧草地を通り、川の近くに車を止めた。

左岸側は土手が迫り木の枝も張り出しているので、川を渡り右岸側から攻めることになった。ポイントは左岸側沿いに点在している。流心にキャストする。私の普段の釣りでは、瀬脇とか流れ出しの下部などの比較的流れの緩いところを狙うことが多く、軽いオモリではなかなか下波に入らないので流心を狙うことは少ない。オモリを重くするとすぐ根がかりしてしまう。

しかし、ここでは積極的に波立つ流心を攻める。下波に大物が定位しているからだと中村さんが教えてくれた。スプリットショットに3Bのオモリを2,3個つけているが、河床は大きさの整ったきれいな砂利なので根がかりもほとんどなく、安心してキャストできる。インジケーターが引き込まれた。フィッシュオン! 40センチオーバーのアメマスが竿を絞り込む。

大物を浅瀬に誘導する 立派なアメマス

その時、私より下流の方で釣りをしていた中村さんの奥さんが「あがらない!」と叫んだ。見れば、竿が限界近くまで絞り込まれラインも長く伸びている。中村さんはあわてずに、いつものことだという表情で近づいていった。あがったアメマスは56センチもの大物で、奥さんも満足している様子だった。私もそちらのポイントまで釣り下り、同じようなところで45センチのアメマスを釣ることができた。

O川のアベレージ


豚丼

午後4時を過ぎると、陽も大分落ちて寒くなり始めたので納竿することになった。夕食には地元の名物ということで、牡蠣入りそばにするか豚丼にするか走る車中で暫く検討が続いたが、ボリュームが決め手となって豚丼を食べることになった。
豚丼は帯広が発祥の地とされているが、白糠町にも店があり、我々は国道38号線沿いにある道の駅しらぬか恋問の「レストランむ〜んらいと」を訪れた。炭焼きの肉厚豚4枚の豚丼が870円、6枚は980円で私と中村さんは6枚のを、奥さんは4枚のを注文した。持ち帰りのお客さんを見ているうちに豚丼がやってきた。豚は見るからにジューシーで、6枚のうち5枚は御飯の上に、残りの1枚は御飯の中に埋もれていて、ドンブリ一杯においしさが詰まっている。私は瞬く間に平らげたが、中村御夫婦はようやく食べ終えたようだった。

美人の湯

満腹の3人を載せた車は、漆黒の県道釧路鶴居弟子屈線を北上して鶴居村に向かった。本日のお風呂は、鶴居村温泉「美人の湯」だ。入口で入湯料金500円を払い、湯殿に向かう。ここの温泉は琥珀色のすべすべ温泉で、神経痛、筋肉痛など万病に効果があるそうで、特に3日続けて入るとつるつるすべすべの美人になるらしい。奥さんが、3日続けて入れないことを残念がっていた。露天風呂もあり、北海道の夜空を見ながら入る温泉は最高だった。

弟子屈の夜


温泉で心身とも暖まった後は本日の宿泊地、弟子屈に向かう。弟子屈市内の公園に車を止め、トレーラーを下ろす。固定用の足を4本伸ばし安定させ、室内のテーブルをたたみベッドを作る。毛布や分厚い布団(寝袋)をかけてできあがり。奥さんが用意してくれた。初めは3人ともトレーラーで寝ると思っていたが、お二人は車の椅子をフラットにしてそちらで寝るという。こんな快適なトレーラーを独り占めして申し訳ない、と思いつつも長旅の疲れもあってすぐに寝入ってしまった。

忠類川

朝6時起床。弟子屈から中標津を経由して標津に向かう。今日は忠類川のサケを狙う。地元でサケといえば白鮭のことで、アラスカのチャムサーモンと同じものだ。海で沖取りすればアキアジ、あるいはトキシラズと呼ばれている。根室海峡に設置された定置網をかいくぐり、海水から淡水へ過酷な順応をとげて、産卵のために遡上してくるのだ。

忠類川の管理事務所の前に車を止めて朝食をとる。奥さん手作りのパンとサラダ、ゆで玉子にデザートはカスピ海ヨーグルト。いれ立てのコーヒーを飲みながら豪華な朝食を頂いた。食後、釣り支度を整え、川に向かう。

管理事務所で受け付け 忠類川 忠類川

忠類川については、以前から注目していたが、解禁当初の混雑ばかりが報道されるのであまり良い印象がなかった。しかし、川の畔に実際に立ってみると、そこには釣り人の影もなく、水は透き通り豊かに流れている。漁協がしっかり管理しているせいか、ゴミもほとんどない。いい川だ。釣りをする気が俄然湧いてくる。

8番のロッドにフローティングライン、0Xのリーダーにインジケーターを兼ねたフロートと3Bのオモリを3つつける。リーダーは12ポンドくらいか。フライは赤のストリーマーのようだが、よく分からないので中村スペシャルとしておこう。忠類川孵化場の脇を通って川に出る。

8番のロッドとリール


最初のポイントは「ナニワの瀬」と呼ばれるところで、中村さんが釣り方を見せてくれた。最初にいわゆるスラックと呼ばれる流れの緩急がぶつかるところ、次に波立つ流心を狙う。着水後、メンディングを素早く行い、オモリが底を打つようにインジケーターの動きを注視する。サーモンは一般にボトムフィーダーだから、フライが底近くを流れるようにしないとなかなかバイトしない。

忠類川に立ち込む


「エゾシカの淵」で、インジケーターが止まったきり動かなくなった。いくら引っ張っても動かないので根がかりだと思って、川に入って外そうとしたところラインが急に動き始めた。ヒットしていたのだ。ロッドがたちまち絞り込まれ、魚は下流に走る。強い引きに耐えながら、余分のラインの巻き取りにかかった途端、釣り糸はチモトのところから切れてロッドが急に軽くなった。バレてしまったのだ。落胆している私を中村さんが慰めてくれる。逃がした魚はいつも大きい。

忠類橋上流打ち上げられた白鮭

国道335号線の忠類橋まで釣り下がる間にもう1回アタリがあったが、取り込めないまま午前中の釣りが終わった。昼食をとるために駐車場まで戻る。昼食は中村さんが焼きそばを作ってくれた。野菜がたっぷり入った焼きそばで、いれ立てのコーヒーとともにおいしく頂いた。川の畔で適時に休憩を取りながら釣りにいそしむ。ヨーロッパスタイルの贅沢な釣りを楽しむ。

昼食後は釣り場を上流に移す。多分「ジープの瀬」と呼ばれるところで、川の流れが右岸側に大きく蛇行しているところだ。オモリを1つ加えて流心を攻める。足下をくたびれ果てた鮭がゆらゆらと遡っていく。少しずつ釣り下がっていくがアタリは来ない。昨日より気温がかなり下がっていて、これが影響しているのかもしれない。忠類川の鮭釣りは11月一杯できるが、遡上のピークは既に過ぎている。

忠類川に立ち込む


管理人から3時までに戻るように言われていたので、根がかりでティペットが切れたのを機に駐車場に戻った。ついに鮭を釣り上げることはできなかったが、近まる来る冬の訪れを感じながら、北海道の鮭釣りの雰囲気を十分に味わうことができた一日だった。記念にお二人の写真を撮らせてもらった。釣り道具をしまい、帰路についた。

中村御夫妻


養老牛温泉

途中、標津町に住む中村さんの友人を訪ね、お茶をご馳走になった。今日の温泉は、標津まで来たのだからということで、中標津町の「養老牛温泉」に行くことになった。この温泉は標津川の畔にある3軒ほどの小さな温泉地で、今回は湯宿だいいち のお世話になる。中村さんの話では、かつてはひなびた温泉旅館だったらしいが、今では建て替えて立派な建物と色々な湯殿を用意している。
木をくり抜いてお湯を満たした露天風呂に浸かりながら、中標津の夜空を眺めていると、生きていることの幸せを心から実感できる。来年もまた来よう。

鶴居村の夜

旅館の駐車場で、鍋焼きうどんと途中で買った豚キムチや寿司で夕飯となった。飾らない中村御夫妻との楽しい会話を薬味に、楽しい夕食だった。食事を済ませる後、少しでも釧路に近づいた方が良いということで、鶴居村に向けて車を走らせた。鶴居村まで来れば釧路空港まで約35キロ。中村さんには食後の休憩もなくお疲れ様。
道路脇の駐車場に車を止め、寝る準備を始めた。気温は昨晩よりも下がっているようだがトレーラーの中は快適で、近くを通過する車の音を聞きながらいつの間にか寝入った。

鶴居村の寒い朝


釧路湿原

朝の気温は推定零下4度。水たまりは凍っていて、車に降りた霜も凍り付いている。近くの公園まで移動し、そこで朝食をとる。手作りパンにサラダ、ゆで玉子、いれ立てのコーヒーに牛乳と豆乳、デザートはカスピ海ヨーグルト。豪華な朝食を味わう。

釧路空港に向かう途中、中村さんは釧路湿原がよく見えるところに止まってくれた。そこからは広大な湿原とイトウが住む釧路川が見渡せる。一方で、南側から住宅街が迫ってきているのが見える。土地の利用規制がどうなっているのかは知らないが、この湿原がいつまでも残ることを祈らざるを得ない。

釧路湿原


空港には9時20分に着いた。2泊3日の北海道釣行は今終わろうとしていた。準備期間が短かったにも関わらず、すべて期待以上の内容だったのは、中村御夫妻のおかげだ。サケの遡上と同様に、お二人の事業がいつまでも続くことを祈っている。

釧路空港ただいまの気温

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