2013年秋 コディアック


Kodiak Silver

今年もアラスカのコディアック島にシルバーサーモン釣りに出かけてきた。毎年同じ所で同じ魚を狙うというのも脳がない、という指摘は正しい。サーモンだけでも太平洋には5種類おり、他にもレインボーなどのトラウトも何種類もいる。釣る場所も無数にあり、アラスカの各地に航空機の路線が多数展開している。

しかし、バンクフィシング(陸っぱりというのだろうか。)で手軽にサーモンが釣れる場所となると、場所がかなり限定されてくる。釣り場までのアクセスが容易で釣れる場所などもだんだん分かってくると、今更新しい場所を開拓するのも面倒になってくる。ということで、またもやコディアック来島となった。

8月31日 土曜日 曇

成田発15時30分のデルタ航空156便は、満員の乗客を乗せて定刻に飛び立った。約9時間のフライトで、シアトルには8時20分頃に到着した。ここでアラスカ航空に乗り換えてアンカレッジへ。アンカレッジではエラ・アビエーションに乗り換え、現地時間の午後4時過ぎにコディアックに到着した。

レンタカーを借りて宿であるロシアンヘリテイジ・インに到着したのは、午後5時頃だった。家を出てから22時間以上経っている。午後7時にガイドの大木さんと会って。今後の予定を打ち合わせた。前日までの雨で、川の方はだいぶよい状況になっているようだ。明日からの釣行が楽しみだ。

9月1日 日曜日 曇時々晴れ

午前6時30分、バスキンリバーのフィッシング・プラットホームに立つ。このウッドデッキは観光用の施設かと思っていたら、障害者でも釣りができるように作られた施設であることを今回知った。車椅子で乗り付けて、このデッキから釣りができるようになっている。

川面はまだ薄暗いが何とか仕掛けをセットして、筋子の餌を付けてキャストする。水は多くはないが、昨年の渇水状態から考えれば少しは釣りにはなりそうだった。しかし、何回餌を流しても、アタリはいっこうにこなかった。

少し下流に移動する。そこはやや水深があり、対岸が深みになっている。何回か流すうちに、バイトがあった。久しぶりのバイトであせったのだろう。合わせたのだが、少し早かったようだ。餌を付け直して再びキャストすると、またバイトがくる。しかしいくら待っても強い引き込みがない。結局、3回もバイトがあったのだが、いずれも口からスポッと抜けてしまうようで釣り上げることができなかった。

デッキ前の川から下流側を見る。 上流の様子。

バスキンリバーはダウンタウンから車で10分ほどで来られる。幹線道路から川への道は未舗装だがしっかりしていて、駐車場の整備もされている。そのため毎日多くの人々が釣りにやってくる。ふと下流の方を見ると、地元のご婦人がルアーをキャストしていた。釣れる魚はもちろん魅力だが、それ以上にこの島の数少ない娯楽の一つになっているからだろう。一向に釣れる気配はなく人が増えてきたので、別の川に行くことにした。

地元の女性釣り師 川の中にはたくさんのピンクサーモン。

バスキンリバーから車で20分ほどのところにアメリカンリバーがある。路肩に車を止めて川の様子を見に行った。橋の上から川の中を覗いてみると、意外に水は少なく見えるのはピンクサーモンばかりだった。

さらに西にあるオルズリバーに向かう。道路から河原まで車で下り、空いているところに車を止める。すでに年配者のグループが来ていて、そのうちの何人かが釣りをしていた。一人の老人は持参した椅子に腰掛けて、スピナーをキャストしていた。介護者がいれば、自分でキャストして鮭釣りが楽しめるのだ。魚がかかる度に歓声が上がる。釣れるのはピンクサーモンばかりだが楽しそうだった。

アメリカンリバー 家族連れが釣りに来ていた。

オルズリバーも水量は少なく、川の中で見えるのはピンクサーモンばかりだった。それでも河原にはシルバーサーモンの捌いた後の残骸があったから、この川にもシルバーサーモンが遡上しているのは間違いない。しかし、数はすくなそうだ。

水が少なく、釣りは難しい。 捌いた魚の残骸。

オルズリバーでは今までに何回もシルバーサーモンを釣っていた。一昨年は入れ食いを経験していた。しかし、今日は水量が少なく水は冷たい。スピナーを何回かキャストしたが、アタリはこなかった。少し下流で親子連れが釣りをしていて、足元にはシルバーサーモンが1尾転がっていた。それを見て再び釣り開始。だが期待に反して、釣れるのはピンクサーモンばかりだ。初日から頑張ると後が続かないので、今日はここで納竿することにした。

オルズリバーに到着。 今回活躍したラブ4。

9月2日 月曜日 雨

今日は海釣りの日だ。8時集合なので、朝食をゆっくりと済ませてから港に向かう。旅先での食事は外食が多くなりがちなので、朝食はできるだけ栄養のバランスに注意している。今回浅漬けの素を持参し、到着した日に買ったキュウリとナスを漬けてサラダ代わりにしている。デザートはスイカという豪華な朝食だ。

今日の朝食。毎日ほぼ同じだった。 食後のデザート、スイカ。

港には多くの釣り船と漁船が係留されている。その中に我々が乗る U-RASCAL がある。毎年お世話になっているチャーターボートだ。ボートには助手が2名待っていたが、船長は見えない。少しして別の釣り客がやってきた。見覚えのある顔だった。向こうも気づいたようで、彼らとは昨年も同船していたのだ。皆天気を心配していて、一人の話では既に6隻のボートがキャンセルになったそうだ。天気は午後からさらに悪くなるらしい。そこへ大木さんがやってきて、船長の奥さんから電話があって、今日は時化るのでキャンセルになったとのことだった。時化ではしょうがない。

港にはたくさんの釣り船が係留されていた。 画面中央が U-RASCAL 。

宿に戻って川釣りに行くことにして、釣り支度を整える。ここから車で約1時間のパサギシャクリバーに行くことにした。今年はバスキンリバーとパサギシャクリバーが好調と大木さんが言っていたが、好調の分とても混んでいるらしい。とにかく行ってみよう。雨と風が強くなってきた中をひた走る。

河口近くの駐車場に着く。冷たい雨と強い風が影響したのか、川は予想に反して釣り人が少なかった。早速スピナーをセットして、駐車した場所の近くから釣り始める。しかし、バイトはなかなかこない。かかるのはピンクサーモンばかりだ。少し上流で釣りをしている人を見ると、餌釣りで続けて2本かけていた。それを見て直ちに餌釣りに変更する。変更するとすぐにバイトがあったが、食いが浅くてバレてしまった。水中でヒラを打って逃げていくのが見えた。

川は満潮が近づいているので水位がどんどん上がり、流れがなくなろうとしていた。流れがなくなると魚は釣れない。あせる気持ちを抑えながら餌を流していると、はっきりしたアタリが竿先をふるわせた。バイトだ。しっかり餌を咥えるのを待って合わせる。強い引きが返ってきた。今回はしっかり乗ったようだ。釣り始めて2日目にして初めてのヒットだ。川のあちらこちらを逃げ回るが、慎重にやりとりしてランディングする。良型のメスのシルバーサーモンだった。

風雨の中のパサギシャクリバー。 やっと釣れたメスのシルバーサーモン。

川の水位はどんどん上昇して、流れもほとんどなくなってきた。だいぶ海水が川に進入しているようだ。小さなアタリに合わせると、釣れてきたのは大きなカジカだった。ここらが潮時のようだ。

河口から潮が押し寄せている。 イクラに食いつくカジカ。

午後からバスキンリバーに転戦する。性懲りもなく、昨日と同じポイントに入る。餌を付けてキャストすると、すぐにバイトがある。しっかりフッキングする。やり取りしながら手前に寄せてくる。本日2尾目確保、と思っているとフッと竿が軽くなった。何とハリスが切れてしまったのだ。エッグループにしてあるから、針のチモトで切れることはない。ハリスにキズでもあったのだろうか。貴重な一尾を逃がしてしまった。それからはアタリもなく、雨に濡れて寒くなってきたので納竿することにした。午後3時30分、帰路につく。

夕方大木さんと連絡を取る。釣果がイマイチなので、アフォグナク島への飛行機の予約をお願いした。また、海釣りは5日に再予約となった。

9月3日 火曜日 晴れ

今日から二日間、大木さんにガイドをお願いしている。6時15分に迎えに来てもらう。最初にバスキンリバーの梁の上流に入る。バンキンリバーには河口から上流のバスキンレイクまでの間に、2カ所の梁が設置されている。監視員がここで遡上してくるシルバーサーモンの数をカウントし、遡上数が少なければ禁漁にしたり、釣れる数を制限したりする。
餌の筋子をエッグループで針に固定して、早速釣りを開始する。

梁上流のポイント。 目の前の瀞場を流していく。

すぐにバイトがあった。竿先に筋子を咥えている様子が伝わってくる。頃合いを見てしっかり合わせる。針はガッチリかかったようだ。魚は水中を逃げ回るが、勢いを十分竿で矯め、走られないように注意した。リールを巻きながら、徐々に手元に寄せてくる。良型のメスのシルバーサーモンだった。

良型のシルバーサーモン。 精悍な顔つき。

少し上流に移動する。そっと川の中を覗くと、流れの緩くなった所に数尾のシルバーサーモンが群れていた。早速群れの上流側からそっと餌を流す。水中で餌に食いつく様子が見えたので、今度は待たずに素早くがっちり合わせる。またもや良型のメスのシルバーサーモンだった。僅か1時間余りの間に定数を釣り上げる。

少し上流の瀬脇に魚が溜まっている。 これも良型のシルバーサーモン。

サーモン釣りでは、釣り人が少なく魚にストレスがかからない朝のうちに、いかに手返し良く定数を釣り上げるかが勝負だ。時間が経つほど食いは落ちるし、釣り人の数も増えてくる。釣り方にも工夫が必要だ。筋子やイクラは餌としては最強だが、漫然と流していては、よほど魚が濃くない限り釣れることはない。流れの中をふあふあと漂うように、適度な動きが伴わないと食いつかない。川底に沈んでいる産卵後のイクラを捕食することはないことからも、このことは明らかだ。川の中をナチュラルドリフトさせながら、流れていくイメージを演出するのも釣り人に求められる技術だ。

早朝の釣果。 バスキンリバー。

餌釣りからスピナーに切り替える。ダウンクロス気味にスピナーを引いてくると、シルバーの食いつく姿が見えた。すかさず合わせて、ガッチリ針掛かりさせる。定数を釣っている強みで、ぐいぐい巻いてくる。大木さんにネットで取り込んでもらった。これも良型のシルバーサーモンだった。今年のバスキンリバーは例年よりも一回り大きいように思った。釣れる魚はどれも丸々と太っており、引きも強烈だ。

スピナーにくる。 今年のバスキンリバーのシルバーは例年より大きい。

さらにもう少し上流に移動する。対岸沿いの流れの中がポイントのようだ。ダウンクロスでスピナーを流す。何回かキャストするうちにバイトがあったが、食いが浅くてバラしてしまった。

少し上流のポイント。 スピナーを流していく。

今度はスピナーからジグヘッドにピンクのタコベイトを刺した、特製のジグをキャストする。ただ流すとただのピンクの棒になってしまうので、トウィチングしながらリールを巻いてくる。これが功を奏して、強烈なバイトがある。反射的に合わせると、ものすごい引きが返ってきた。流れに乗ってしまうと大変なので、グイグイと巻いて近寄せる。これも大木さんがネットら収める。今までで一番大きなシルバーサーモンだった。

網に入れてランディング。これも大型だ。 優しくリリースする。

釣ったりバラしたりしながらかなりの数のシルバーと対面したので、ここで少し休憩を取る。周りに目をやると、川沿いの林の中に色々なキノコが生えているのを見つける。今までにもあったのだろうが、初めて見るような気がした。山菜は少しだけ分かるが、キノコは全くダメなので、見るだけに徹する。

川沿いの林には色々なキノコ。 種類や名前は分からない。

食べられそうだが。 可愛いキノコ。

時合いが過ぎたようなので、この場所を終わりにすることになった。川沿いに下り、梁の下で川を渡る。梁の上には産卵を終えた夥しい数のピンクサーモンが乗り上げていた。やがて孵化した稚魚はそのまま川を下り、海で育ち何年か後にまた帰ってくる。

梁と監視小屋。 梁の上には産卵後の鮭。

午後からバスキンリバーの河口近くのポイント broken bridge に入る。ここは海から遡上してきたサーモンが最初に溜まる場所で、バスキンリバーの中で最も人気の高い場所だ。私はフライフィシングでサーモンを狙うことにした。自製のフライを深みに流し、トウィッチングしながら巻いてくる。すぐにバイトがあった。

よく釣れることから人気の高いポイント。常にたくさんの釣り人がいる。 すでに定数を釣っているので気が楽だ。

シャートルーズ、オレンジ、ピンク、レッドとシェニールフライの色を変えながら、2尾を釣る。いずれも良型のサーモンだったが、すべてリリースする。ビーズとエッグサッキングリーチも試してみたが、今回は効果がなかったようだ。

岸にづりあげていく。 自製フライに食いついたシルバーサーモン。

白石さんも定数の2尾をここで釣り上げる。調子が出てきたようなので、明日のアフォグナック島への遠征は取りやめることになった。大木さんに無理を言って、飛行機の予約をキャンセルしてもらった。本日はここで納竿する。

デッキ前の川から下流側を見る。花 上流の様子。

9月4日 水曜日 晴れ

午前6時30分、バスキンリバーの昨日のポイントより少し上流に入る。川が大きく湾曲していて、その湾曲部が良いポイントになっている。ここも人気の高いポイントだが、今日は意外と釣り人が少ない。チャンスだ。

昨日最後のポイントの少し上流。ここも人気の高いポイントだ。スピナーにヒット。 徐々に寄せてくる。

始めは餌釣りから始めたが、流れがあまりなくふかせ釣りもしにくいのでルアーフィッシングに切り替える。スピナーをセットしてキャストを開始すると、すぐにバイトがある。魚が走り出すと止められないので、極力走らないように工夫しながら寄せてくる。良型のメスのシルバーサーモンだった。

今日最初の一尾。 これも立派なシルバーだ。

スピナーでさらに1尾を加えて、午前10時までには定数を釣り上げることができた。白石さんにも1尾来たが、やや小さいのでリリースとなった。川の向かい側でボッバー・フィッシング(浮き釣り)をしている人に、バイトが続いていた。イクラを餌に大きな浮きを使っての流し釣りだが、水の流れがあまりない所ではかなり有効な釣り方だ。

ただ、合わせが難しい。最初の浮きの引きで合わせてしまうと、針掛かりが不十分なことが多い。向かいの人が何度もバラしいてたのはそれが原因と思われた。食い込ませるタイミングが分かれば、ものの30分で定数を釣り上げられるだろう。

水の色が濃くなっている所は深場でポイントだ。 本日の定数を達成する。

午前11時30分まで、ルアーの色や種類を変えながら釣り続ける。特にこの色が良いとかはないようで、キャストの回数がより大切のようだ。この間、2尾のシルバーサーモンをキャッチ・アンド・リリースした。

青空の中を小型飛行機が飛んでいく。 川沿いの絵のような風景。

午後から空港手前にあるバスキンリバーに架かる橋の上流に行く。川の上流にあるバスキンレイクに行く道沿いに2カ所のポイントがある。いずれもサーモンの遡上が進行するシーズン後半のポイントということだった。最初のポイントは橋のすぐ上流で、川のほとりに立つと流心の脇にシルバーサーモンの群れが見えた。

橋の上流のポイント 川幅が広がっていて池のようになっていた。

2カ所目のポイントは少し上流にあり、ここも流れが緩くプールのようになっている所だった。上流側で釣りをしている人が見えた。見てきた2カ所ともボッバーフィッシング(浮き釣り)に良さそうな場所と思われた。

さらに上流のポイント。 上流側に釣り人が一人いた。

本日最後の釣り場は、昨日最後に訪れた broken bridge だった。手前の駐車場にはすでに14台もの車が止まっていおり、釣り場では相当の激戦が予想された。川には上流側にも下流側にも大勢の人がいて、餌釣り、浮き釣り、スピンフィッシングと思い思いの方法で釣りを楽しんでいた。何とか隙間を見つけて釣りを開始する。

ブロウクン・ブリッジのポイント。大勢の釣り人で賑やかだ。 釣り人の絶えない釣り場。

私はスピナーで、白石さんは餌釣りで釣り開始。左側で釣りをしていた人のスピナーには何回もバイトがあるのだが、私のにはほとんどこない。それでも辛抱強くキャストを続けていると、スピナーを引いてきた手前近くでシルバーがスピナーに食いつくのが見えた。すかさず合わせてフィッシュオン! これも大型のシルバーサーモンだった。ラインは15ポンドなので、慎重にやり取りしながら寄せてくる。岸までズリ上げてから、針を丁寧に外してリリースした。

スピナーにヒット。大型のシルバーサーモンだった。 優しくリリースした。

ここで午後4時30分まで粘って納竿した。明日はいよいよ海釣りだ。

9月5日 木曜日 曇後雨

今日は延期された海釣りの日だ。8時前に港に行き、係留されている U-RASCAL に乗り込む。釣り客は私達以外にアメリカ人が3人で、2人と1人のグループだった。船は定刻に出航した。今日の助手はレベッカとビクトリアの二人の女性で、そのうちの一人は2年前にも同船していて、彼女も私を覚えていた。

朝の港風景。 助手のレベッカとビクトリア。

船は港内の給油所で燃料を補充した。レベッカとビクトリアの二人が手際よく給油する。日本の釣り船で女性の助手を見たことは一度もないが、アラスカでは船長をしている人もいるくらいで、この仕事は男性この仕事は女性という区別は少ない。

カモメが群れていた。 レベッカが船に燃料を入れている。

釣り場に向かう途中で、船長は突然船を止めた。そして右舷の沖合を指差した。その方を見ると、はるか沖合で幾筋もの潮が吹き上がっていた。鯨がいるのだ。それも一頭やや二頭ではなく、5,6頭の群れが2つくらいいるようだ。

勇壮な潮吹き。 鯨の背中が見える。

同船のアメリカ人があれはハンバックホエール humpback whale だと教えてくれた。大形で長いひれ足と背中のコブが特徴で、広い海を悠然と泳いでいる。偶然の贈り物にみんな大喜びだ。鯨が遠ざかっていくのを見計らって、船は再び走り始めた。昨年は島の東側にある島々の間で釣りをしたが、今回は風の影響のあったと思われるが、島の南側沖合に向かっていた。

鯨の背中と尾が見える。 少しずつ鯨が去っていく。

釣り場につくとすぐに釣り開始。最初はニシンを餌にハリバットを狙う。ニシンを半分にぶつ切りにして、巨大な針にかけて海に投入する。水深は50〜60メートルくらいだろうか。やがて竿先にアタリが伝わってくる。ハリバット釣りは日本のヒラメ釣りと同じように、アタリがあってもすぐに合わせてはいけない。ハリバットが十分に餌を飲み込むのを待ってから、一気に合わせる。オモリだけでも200号くらいあるから、底にへばりつくハリバットを引き上げるのは大変だ。重いリールを何とか巻き上げていく。やがて水面に現れたのは30ポンド(約13kg。)くらいの中型のハリバットだった。

仕掛けを投入してアタリを待つ。 1メートルくらいのハリバット。

船内のあちらこちらで魚が上がり始める。ハリバット、フラウンダー、マダラなどの底物が釣れていた。マダラも60センチオーバーの大型で、これを引き上げるのも一苦労だ。次々に釣れるのは嬉しいのだが、巻き上げるのがとにかく大変で、腕には乳酸が溜まり始めてきた。

これもカレーの仲間だ。 葉が鋭い。これに噛まれたら大事だ。

全員定数のハリバットが釣り上がったので、場所を移動してジギングでロックフィッシュ釣りが始まった。180グラムくらいのジグを底まで落とし、少しずつしゃくりあげてくる。私の一番好きな釣りだ。ジグなのでアタリは明確で、たちまち数尾のブラック・ロック・フィッシュ(黒ソイ)を釣り上げる。

ジギングの用意万端。 ポイントを求めて移動する。

次に少し場所を移動して、ジグでリングコッドを狙うことになった。ジギングというより小突き釣りに近く、ジグを底まで落として竿をあおる。リングコッドは黄色によく反応するようで、黄色のラバージグや黄色のジグに大型のリングコッドが次々にヒットした。大きいものでは1メートルを超えるものも釣り上がっていた。私も黄色の入ったジグを使って、大型のリングコッドを釣り上げる。今回は日本から棚付き同軸リールを持参してきたので、PE5号に50ポンドのラインをティペットにして快調に釣り続けた。

1メートルを越えるリングコッド。 リングコッドの大きな頭。

最後にトローリングでサーモンを狙ったが、これにはバイトはなかった。すでに定数の魚を全員が釣っていたので、いつもより早めの沖上がりとなった。今日はコディアック島の南沖での釣りだったので、港まではたいしてかからず戻ることができた。

海岸沿いの住宅地。 まもなく港だ。

私達の釣果は後で大木さんが引き取ることになっていたはずだが、手違いで他の釣り客と一緒に加工業者に引き取られてしまった。大木さんが後で加工業者から引き取ることとなった。心配された天気も何とか一日持ったが、夜半から急速に崩れるようだ。

本日の全員の収穫。 時々食事を取っている日本食レストラン、オールド・パワー・ハウス。

天気予報では夜中から風雨が強くなり、かなりの霧が発生するらしい。アンカレッジとコディアックの間を結び航空会社はエラ・アビエーションだが、飛行機は有視界飛行で悪天候の場合はキャンセルになることがある。このまま天気予報通りに進むと、明日の午前便はほとんど絶望的だった。明日は何としてもアンカレッジまで戻る必要があったので、できれば天気が悪くなる前の今日のうちにアンカレッジに行こうということになった。

私達は明日の午前11時の便を予約していたが、空港まで行って今夜の便に変更をお願いしたが、今夜の便はすでにすべて満席になっていた。明日遅くなれば悪天候のピークは越えるとの予報だったので、空いていた明日の夜11時の便を何とか確保することにした。

明日のコディアック出発が半日遅れることになったので、ホテルの滞在延長、レンタカーの貸出し延長、アンカレッジのホテルにチェックインが遅れることの連絡など、宿に戻ってから大忙しだった。

9月6日 金曜日 雨

雨と風は夜半から強くなった。朝もかなりの風雨が続いていた。出発は夜遅くなので、ゆっくりと朝食をとる。天候によるスケジュールの変更やクレジットカードが途中で使えなくなるなど、今回は色々なハプニングがあった。釣りは好調だったが、事前に備えるべきことが多々あったようだ。まだまだ旅の技術は未熟だと痛感した。

このベッドで毎日熟睡した。 今日の朝食。

夜半からの風雨は午前10過ぎには少し弱まってきた。白石さんの提案で、空港に様子を見に行くことにした。航空のチェックインカウンターで運行状況を確認すると、驚いたことに今朝の一便はキャンセルになったが、二便以降は遅れながらも飛んでいるということだった。

それなら少しでも早くアンカレッジに着いた方が体が楽なので、午後からの便に空きはないかと聞いたみた。しかし、すでに一便のキャンセルされた乗客が他の便に移っていて、空いている便はまったくなかった。

思案に暮れていると、担当者が午後4時30分発の臨時便が出るという。これを逃す手はない。早速予約の変更をお願いする。幸運にもスタンバイ扱いで、無料で変更に応じてくれた。これで明るいうちにアンカレッジに着くことができる。

出発までには数時間有るので、時間つぶしを兼ねて島を回ることにした。普段は釣りに忙しくて、観光することはほとんどない。島の代表的な観光スポットのロシア正教会にもまだ行っていない。まずはミラー・ポイントにある軍事歴史博物館に行くことにした。

博物館の入口。 案内書き。

コディアックにアメリカの軍事基地が作られたのは19世紀だが、冬でも凍らない港だったことから昔から重要な海軍基地だった。このミラー・ポイントには第二次世界大戦時に対日本戦用に8インチ砲が2門設置された。この残骸を含めて博物館が作られ、ボランティアによって運営されている。

大砲のある公園。 砲台の跡。

海岸まで道が続いていた。 もう一つの砲台。

ここから少し足を伸ばして、モナシュカリバーに行ってみる。ホワイト・サンド・ビーチの脇を流れる小河川だが、放流事業が成功したことでかなりのシルバーサーモンが遡上してくる。川に架かる橋の上から川の中を覗くと、夥しい数のピンクサーモンの中に数尾のシルバーサーモンがいた。橋の上流には、10尾近い群れも見られた。ただし、橋の上流は禁漁になっているので釣りはできない。

モナシュカリバー。 橋下流のポイント。あいにくの風雨で釣り人はいなかった。

午後4時30分の臨時便は、30分ほど遅れて離陸した。雨雲の中を一路アンカレッジを目指す。午後6時10分、アンカレッジ空港に到着。ここまでくれば大丈夫だ。よほどのことがない限り、明日はシアトル経由で帰国できる。この後の心配は、どこで今日の夕食をとるかだけになった。

アンカレッジ空港国内線ターミナル前。

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