2010年秋 コディアック


Kodiak Silver

今年もシルバーサーモンを狙って、9月4日から12日までアラスカのコディアックを訪れた。コディアックはこれで5回目になる。この時期、シルバーはアラスカのほとんどの川で釣ることができるが、釣りやすさと魚体の素晴らしさを考えるとコディアックを選ばざるを得ない。

写真に青い枠があるものは、動画です。画面をクリックするとyoutubeで動画が見られます。

9月4日 土曜日

飛行機は定刻を2時間半遅れて成田を飛び立った。この飛行機はベトナムから日本に来て、それからシアトルに向かうらしいが、ベトナムでの出発が大幅に遅れたものと思われる。この遅れでシアトルで乗り換えるアラスカ航空には間に合わなくなったので、デルタ航空のチェックインカウンターで別の便の手配をお願いする。遅延の代償に600円のミールクーポンをもらった。これでコーヒーでも飲みながら待て、とのことなのだろう。

アンカレッジではコディアックへの便の待ち時間が4時間くらいあったので、市内在住の知人に市内の案内をお願いしていたが、飛行機の遅延で時間がなくなってしまった。シアトルからお断りの電話を入れたところ、空港まで来てくれることになった。彼女はアンカレッジのバッゲージクレームで待っていてくれた。挨拶を交わし、空港内のレストランでコーヒーを飲みながら、最近のアラスカの様子を楽しく聞くことができた。彼女に見送られて、エラ・アビエーションの飛行機に乗り込んだ。アラスカの旅は、ここから始まる。

案内板に遅延の表示 コディアックを目指す

コディアック空港は雨が降っていた。狭い空港内は到着の人々とこれから乗り込む人々でごった返している。バジェットでレンタカーを借り出し、荷物を積み込んで宿へと向かう。いつもは普通の乗用車を借りているが、今回は4輪駆動のピックアップトラックを借りている。

ロシアン・ヘリテイジ・インのチェックインを済まして、近くの中華料理店で大木さんと落ち合う。大木さんは毎回お世話になっている釣りのガイドで、コディアック唯一の日本人釣りガイドだ。一緒に夕食を取りながら、明日からの釣りの打合せをした。明日は朝5時45分に迎えに来てもらうことになった。

9月5日 日曜日

4時45分に起床して朝食をとる。定刻に大木さんが迎えに来てくれた。夜明けは6時半頃なので、まだあたりは暗い。今日の釣り場は、街近くのバスキンリバーだ。空港のすぐ脇を流れている。河口から1キロほど上流の駐車場に車を止めて、まだ暗い道を懐中電灯をつけながら川に向かう。まだ暗い川にはすでに数人の釣り人がいて、明るくなるのを待っていた。

まだ暗い街 暗い川にはすでに釣り人がいた。

薄暗い中で釣りを始める。イクラの塊を使った餌釣りだ。ここのところ雨が降らないらしく、川の水位はかなり低い。1時間ほど粘るがアタリはまったくない。周りも釣れていないので、昨年の好ポイント、ここから少し上流の崖下ポイントに移動する。イクラの餌釣りからスピナーに変更する。すぐにアタリがきたが、かかりが浅かったらしく、ネットを取りに行く間にバレてしまった。これが本日唯一のアタリだったのに。
釣り始めていくらもしないうちに、辺りが騒がしくなってきた。下流を見ると、なんと熊が川にいるではないか。図体の大きいことで有名なコディアック・ブラウンベアだ。熊の近くには釣り人の姿も見える。

崖下ポイント 下流に熊が現れた!

熊は浅瀬の鮭を追いながら、我々のいる上流に向かってくる。やがて我々の対岸に現れた。アラスカでは何回か熊を目撃しているが、いずれも遠い所にいるものばかりで、こんな間近な熊は初めてだ。

対岸に現れた熊 太っている大きな熊だ

熊と我々の間には川が流れているが、距離的には10メートルにも満たない。水深は少しあるが、熊が本気になれば一泳ぎで渡ってこられる。でも、迂闊に騒げば却って刺激するので、ただただ静かにじっとしているのが一番だ。とはいえ、かなりドキドキものだ。

向かうところ敵なし 上流に歩き始める

熊はこの辺りの様子を一通り見た後で、上流に移動し始める。やがて上流の木々の陰に見えなくなった。一安心だ。方の力を抜く。

熊の後ろ姿 この日の夕方、町の釣り道具屋にベアスプレーを買いに行く。濃厚なカラシの液体が入っていて、熊に吹き付けるのだが、効果は不明。使わないことを祈るのみ。

熊がいなくなったのはいいがアタりもないので、2年前の大釣りポイントに移動する。ここから少し上流で、川沿いにデッキがある。デッキから川を見ると、シルバーが数尾泳いでいるのが見えた。早速スピナーをキャストするが、まったく反応がない。この時期のシルバー釣りは、朝6時から8時くらいまでがゴールデンアワーなのだが、この時間はとうに過ぎている。河口まで一気に移動することになった。

私は、今回河口での釣りを楽しみにしていた。遡上開始直後の最も新鮮なシルバーを狙うことができる。そのため、日本からタコベイトをアレンジしたものなど、色々な試作品を持参していた。スピナーからタコベイトのルアーに換えてキャストを開始した。

バスキンリバーの河口 川に立ち込んでキャストを続ける

しかし、アタリはいっこうにない。ルアーを色々試してみたが、効果はなかった。我々が釣りをしている間に、大木さんが近くのバーベキューハウスで昼食を用意してくれた。野菜のたっぷり入った鳥雑炊だ。出来上がるのを待って、すぐに頂いた。体にしみる。

午後からヤナ(梁)の上流のポイントに向かう。この川には遡上するシルバーを数えるために、川にはヤナが2カ所設置されている。1カ所目のヤナの上流がいいポイントになっていて、水中にはシルバーサーモンが数尾見えた。

川を横断するヤナ ここで遡上するサーモンを数える 絶好のポイント

スピナーをセットしてキャストする。しかし、シルバーの反応はなく、私のルアーに食いついてくるのはピンクサーモンだけだった。

スピナーをキャスト ピンクサーモンが釣れる

ここから川の中を歩きながら、少しでも魚影の濃いところを探して上流に向かう。川の中には、時折シルバーの姿が見えるが、ルアーには反応がない。仕方なく、本日最後の釣り場として、バスキンリバーの上流にあるバスキンレイクに向かった。

川の水はきれいで、水中のサーモンがよく見える。 川は減水している。ここは紅鮭の絶好のポイントらしい。

バスキンレイクではシルバーではなく、ドリーバーデンを狙う。ドリーバーデンは岩魚の仲間だが、この時期、サーモンの卵を狙って海から遡上してくる。ここバスキンレイクには、ものすごい数のドリーバーデンがいて、ミノーなどのルアーにも積極的にアタックしている。我々は、ミノーをセットしてキャストを開始する。ミノーは底を流すよりも、水面の直下を流す方がアタリが出る。

ミノーでドリーバーデンを釣る。 良型のドリーバーデン

ほぼ入れ食いに近いドリー釣りを堪能する。魚はすべてキャッチ・アンド・リリースだが、シルバーのことを考えればリリースしない方がいいのかもしれない。午後4時、納竿となった。明日は、水上飛行機に乗り、この島の隣にあるアフォグナク島に渡る。

ドリーバーデン入れ食い 今回使用したミノープラグ これよりも7センチの方がよくアタッた。

9月6日 月曜日

7時15分、大木さんが迎えに来てくれた。飛行機の離着陸場は本島と橋でつながった向かいの島にある。この島にはこの離着陸場と港があり、たくさんのボートが係留されている。7時30分、アンドリュー・エアで水上飛行機のチャーター料金と島の入場料を支払う。この島は原住民族の土地なので、入島するには入場許可と入島料の支払いが必要になる。入島料は一人50ドルだった。4人乗りの水上飛行機にパイロットと大木さん、白石さん、私の4人が乗り込む。

水上飛行機の離着陸場 今回使用する水上飛行機

飛行機は僅かの滑走距離で海面を飛び立つ。飛行時間は15分くらいだ。

計器が並ぶ操縦席 遙か彼方に島が見える。

窓からはコディアックの街並みが見えた。やがて前方に島が見えてくる。マーカ・ベイという入り江を目がけて飛んでいく。

窓から街並みが見える マーカ・ベイが見えてきた。

パイロットはマーカ・ベイの上空を旋回しながら着水地点を探していた。ちょうど干潮の時間で水位が低いので、適当な着水地点を見つけるのが難しい。水上飛行機はフロートで浮力を確保するが、これが浅瀬で座礁すると、バランスが一気に後方にかかり、たちまち沈没するという特性がある。そのため、パイロットは適当な深みを探しながら、慎重に飛行機を進めなくてはならない。

着水地点を求めて入り江上空を旋回する。 無事に着水して、荷物を下ろす。

水位が低いので、我々は河口のかなり手前で飛行機を降りた。遠くに見える河口まで、釣り道具と大きなアイスボックスを持ちながら30分くらい歩く。砂地の水底は歩きやすいが、磯には海草や貝がびっしり着いていて歩きにくい。足下に注意しながら、何とか一昨年のポイントまでたどり着く。

我々を下ろし、引き返す飛行機 遙か奥に河口が見える。

釣りの支度をしていると、川の右岸側の上流にブラウンベアが現れた。逃げる場所もないこんなところで、熊がこちらに来ては大変だ。大木さんはハンドガン、私はベアスプレー(カラシスプレー)を準備する。しかし、幸運にも熊はそのまま川を下り、やがて山の中に姿を消した。一安心だが、それからは後ろを気にしながらの釣りになった。

遙か彼方に熊の姿 写真の右側が良いポイントになっている。

釣り場は左岸側の水深があるところで、いかにもサーモンが溜まっていそうだ。イクラの塊をエッグループで針に結ぶ。数投してすぐにアタリがくる。しかし、シルバーサーモンの豪快な引きではない。ドリーバーデンかと思って引き寄せてくると、なんとジャック。ジャックは通常より1年早く遡上したシルバーサーモンのことだが、1年早いので体長も30センチから40センチくらいと小さい。それから数尾、続けてジャックが釣れる。たくさんの成長したサーモンに僅かのジャックが混じるというのが普通だが、こんなにジャックばかり釣れるのは初めてのことだ。

やがてジャックではないしっかりしたアタリが来た。かなり強烈な引きだが、水中に見える姿はやや小振りに見える。リールを巻きながら浅瀬に引き寄せる。シルバーに似ているが、どうも違う。大木さんがスチールヘッド(降海型のレインボートラウト)だと教えてくれた。幸運にも初めてスチールヘッドを釣ることができた。暫し見とれる。その後、白石さんに大型のオスのシルバーが来て、私にもメスのシルバーが来た。

フィッシュ オン! スチールヘッドを釣る

スチールヘッドの勇姿 良型のシルバーサーモンのメス

やがて満潮になるにつれて、川の水位が上がってきた。川幅が段々と広がり、ポイントまでの距離が伸びてくる。ジャックの一日の定数は10尾までだが、次々に釣れてくるので餌のイクラの消耗が激しい。イクラ餌は絶対なので大事にしたいが、やがて底をついてしまった。スピナーをセットして釣り続けたが、上げ潮で魚の活性がたかまってきたようでスピナーを積極的に追ってくる。午前中までに定数の5尾を釣り上げた。

川に立ち込んでキャスト 本日釣り上げたシルバーサーモン

ランチまでに二人ともシルバーサーモンを定数の5尾、スチールヘッド1尾、ジャック10尾を釣り上げた。お昼はお手製のおにぎりと春雨スープを頂いた。目の前の川は上げ潮で増水を続けていて、海水が川を遡っていくのがはっきり分かる。

本日の釣果 スチールヘッド

水は川幅ほぼ一杯まで増水した。この上げ潮ににのって海の生き物も上がってきていて、私のフライにヌマガレイが食いついた。60センチ近い大物のカレイだ。ヌマガレイはどちらかというと汽水域の魚だが、潮に乗って海と川を行ったり来たりしているようだ。

増水した川 大きなヌマガレイ

水位の上がった河口 またもヌマガレイが釣れる。今回はやや小型だ。

アラスカにはイヌイットやアサバスカン、アリュートなどの原住民族が暮らしていて、連邦法によりかつて彼らのものだった土地が返還されている。そういった土地がアラスカには広範囲に点在していて、その土地に立ち入るには事前の許可と使用料の支払いが必要になる。ここアフォグナク島も彼らのものだ。

河口まで流れ着いた巨木 巨木に打ち付けられた警告板

定刻通りの4時半に迎えの飛行機がやってきた。入り江の奥は水深が浅いので慎重に進んでくる。魚が目一杯入った重いクーラーボックスを積み込み、本島へ戻る。

迎えの飛行機 この日の夕方購入したスイカ。オレゴン産だった。

9月7日 火曜日

今日はガイドなしでの釣行だ。朝6時に宿を出て、バスキンリバーの崖下ポイントに入る。まだ薄暗い中、スピナーをセットしてキャストを続けたがアタリはない。昨年なら1時間で二人とも定数を釣り上げていたのだが。8時頃になり、場所を変えようと思っていた矢先に、上流から熊が現れた。こちらに向かって下ってくる。今日は大木さんがいないので心細さが一気に高まり、崖上に避難する。

上流から現れた熊 泳いでいる魚はなかなか捕まらない。産卵を終えて死んだ鮭も食べる。

釣りにとって良いポイントは、熊にとっても良いポイントらしい。目の前で一生懸命にサーモンを追っている。こんなに間近で野生のブラウンベアを見る機会はなかなかないが、絶好のポイントで長居はして欲しくない。

一生懸命サーモンを捕まえようとしている。 あきらめて川から上がる。

左の写真では分かりにくいと思うので、色調を調整したのが右の写真。川の中には何尾ものシルバーサーモンが見える。しかし、熊がいる間、我々は手が出せないので見てるだけ。

目の前のポイント 川の中にはシネバーサーモン、ピンクサーモンが見える。

熊にすっかり荒らされてしまったので、この場所をあきらめて上流のポイントに移動する。ここは川沿いにデッキがあって、デッキの上から川を見ることができる。目をこらして見ても、川の中にシルバーサーモンは見られなかった。

デッキから川を見る。 今回借りたピックアップトラック。かなり大きな車だ。

他の川の様子を見に行くことにした。まず、アメリカンリバーから様子を見た。車を路肩に止めて橋の上から川の中をのぞくと、たくさんのピンクサーモンが群れている。チャムサーモンも少しいたが、シルバーの姿はない。

アメリカンリバー 川の中にはたくさんのサーモン

爆音が響いてきたので上空を見ると、近くで沿岸警備隊のヘリコプターが離着陸していた。何かの訓練をしているようだが分からなかった。

ヘリコプター 河原に大勢が集まって何かをしていた。

次にオルズリバーの様子を見に行く。この川はたまにシルバーサーモンが釣れるので、期待している川だ。ここも著しく減水していて、ポイントらしいポイントは見当たらない。ギアを全輪駆動に切り替えて、河原近くまで行ってみる。車を降りて川岸を見ると、真新しい熊の足跡がくっきりと見えた。ここにも熊は出ているようだ。注意深く辺りを見回す。

オルズリバー 真新しい熊の足跡

やはり熊はいた。近くの草原にその立派な姿を現した。私たちと熊の間は草原で、距離はあるものの何の障害物もない。私達は急いで車の中に戻る。いつでも逃げられるように車の向きを変えて、熊の様子を見る。熊は私達の近くを通り、川を横切り下流へと向かっていった。そこは、例年なら私達がサーモンを狙っている場所だ。
今回、全輪駆動の車を借りたので河原まで車で下りられたが、いつものなら徒歩で行く場所だった。徒歩だったらどうしていたのだろう。ここでの釣りは断念せざるを得ない。

オルズリバーの熊 もしここで熊と遭遇していたら

アメリカンリバーに戻って釣りをすることにした。ここではピンクサーモンしか釣れないが、今日は1尾も釣っていないので釣り味だけでも味わいたかったからだ。私の自製フライのフライを色々試してみる。シェニールを巻いたフライでピンクサーモンが釣れた。

アメリカンリバー 釣れたピンクサーモン

釣りを一段落させて、少し足を伸ばすことにした。コディアックは島の一部にしか道路がないので、行ける範囲は限られている。しかし、いつも釣りが中心なので、足を伸ばすことはほとんどない。今回は、島の北部にあるラーセンベイに行くことにした。バスキンレイクの東側の道路を進むと、道はやがて未舗装道路になる。道は勾配を増していき、峠を越える。ここが分水嶺になっていて、ここから先の川の水は島の北側に注いでいく。峠から15分ほどで入り江に着いた。ここには小さなボートの離発着場があり、海釣りにでも行ったのだろうか、たくさんの車が止まっていた。入り江のほとりで車を止めて、試しにタコベイトのルアーを投げてみたが、海草がまとわりつくだけだった。

ラーセンベイ 入り江の奥の河口

戻る途中で、バスキンレイクの少し下流にあるワンドに寄る。ここは川が極端に蛇行していて、三日月湖の状態になっている。遡上するサーモンが一時溜まるところなので、スピナーをセットしてキャストしてみたが、やはりアタリはなかった。今年のコディアックはとても厳しい。本日は、ここで納竿した。

バスキンリバー バスキンリバー

9月8日 水曜日

今日は海釣りの日だ。近くの港から出船する。一昨年、ユー・ラスカルというチャーターボートで出船したが、今回は同じ会社が所有するムーン・シャドーでの出船だ。7時30分に港に集合した。

いつもの朝食 港にはたくさんのチャーターボートが並ぶ。

ユー・ラスカルもムーン・シャドーも、それぞれ定員の6人の釣り人を乗せてアラスカの海に出航した。チャーターボートの料金は年々値上がりしていて、数年前は200ドルくらいだったが、今では300ドルになっている。1年中稼げる日本の釣り船に比べて、こちらではせいぜい4ヶ月くらいしか稼げないだろうから仕方ないかも知れない。

出船を待つ人々 ムーン・シャドーの船室

ボートは全速力で走り続け、バスキンリバーやアメリカンリバー、オルズリバーの沖合を通って、島の北西側にあるパサギシャクリバーの沖合に到着した。ここまでは2時間の航程だ。

疾走するボート パサギシャクリバー沖合 写真のビルディングはミサイルサイト

船はアンカーを打った。水深は30メートル。6人の釣り人のうち、二人はニシンのぶつ切りを餌にハリバットを狙う。残りの4人は、タコベイトにニシンの切れ身をつけて、ジギングでサーモンを狙う。私はハリバット釣りが割り当てられた。

アタリを待つ釣り人 左は本日の紅一点 夫婦で乗船していた。

二度ほど竿先にアタリが来たが、イマイチ食い込みが悪い。竿先が海中に絞り込まれるくらいにならなければ針掛かりしないので、ぐっと耐えて待つのだがすぐに餌を離してしまう。何も釣れない時間が過ぎる。間もなくジギングは終了し、全員ハリバット釣りになった。このチャーターボートでの釣り方は、竿を何本か並べておき、アタリがきたら順番に取り込んでいく。至極アメリカ的なやり方だ。
やがて1本の竿にアタリがあった。本来は私の番だったのだが、女性がまだということで先に女性がリールを巻くことになった。ところがリールが巻けない。旦那が代わって巻き始めたが、それでもなかなか巻くことができない。魚が大きすぎるからだ。途中休憩を取りながら何とか巻き続け、ようやく魚が海面近くまで上がってきた。しかし、とても一人では持ち上げられない。巨大なのだ。大のアメリカ人3人がトライする。

釣り餌のニシン 3人で力を合わせて取り込む。

3人の力でどうにかハリバットが船内に取り込まれた。250ポンド(100キロ)の巨大ハリバットだ。船長の話では、今シーズンのコディアックで最大とのことだった。こんなに大きなハリバットは釣りの雑誌では見たことがあるが、実物を見るのは初めてだ。みんなも興奮している。

やっとのことで船上に引きずりあげる。 巨大ハリバット

今日は全体に不調で、この釣果を最後にアタリがなくなった。船長は何度が場所を変えてくれたが、一向にアタリがないので午後4時30分沖上がりとなった。

巨大ハリバット 左の人と同じくらい。 アタリを待つ竿

帰路、海の景色が見たかったので、キャビンには入らず外にいた。あいにくの向かい風で波しぶきをかなり浴びてしまったが、心地よい時間を楽しむことができた。

疾走するユー・ラスカル アラスカの海

アラスカの海 アラスカの海

釣った魚は港で加工処理業者に渡され、釣り人の自宅に郵送される。埠頭にはクレーンが設置されていて、魚が入った船のコンテナを持ち上げる。このクレーンでハリバットを吊り上げて、記念写真を撮った。重量が250ポンドだと半分くらいが魚肉だから、50キロという量になる。50キロ、とても家庭で捌ける量ではない。結局、私に釣果はなかったが、貴重な体験になった。

釣り上げた旦那さん 私も写真を撮ってもらう。

9月9日 木曜日

今日はガイドなしでの釣行だ。朝6時、崖下のポイントに入ろうとしたが、駐車場には1台の車もない。急に熊が心配になり、5日に行った河口近くのポイントに行く。懐中電灯で道を照らしながら釣り場に向かう。すでに数人の釣り人がいたので安心したが、キャストを繰り返すうちに誰もいなくなってしまった。二人だけになると不安になってくる。案の定、下流側から熊が現れた。ここには高見の見物ができる場所もないので、即座に退散した。海まで出てしまえば大丈夫だろうと思い、海岸に向かう。海はまさに夜明けの時間だった。

夜明けの海 夜明けの河口

ここには熊はいなかったが、魚もいなかった。遠浅の海の中に立ち込んでキャストを繰り返したが、アタリはまったくない。2時間くらい投げ続けただろうか。気がつくと沖にはアザラシが4頭、頭を持ち上げてこちらを見ていた。彼らがいると魚は近寄らない。仕方ないので、バスキンレイク下流のポイントに移動することにした。一昨日、そこの下見をしていて、是非狙ってみたいと思っていたポイントだ。車を道路の端に止めて、熊がいないかとおそるおそる川に近づいたが、他の釣り人がいるのを見て安心する。ここは見通しがきくので、熊の発見も容易だろう。

サーモンがいるのは間違いないと思ったのだが、やはりアタリは来なかった。

バスキンリバー バスキンリバー

何も釣れずに一日が終わるのも癪だったので、バスキンレイクでドリーバーデンを釣ることにした。レイクの入口にはヤナが設置されていて、この上下流90メートルは釣り禁止区域区になっている。そこを避けて釣りを開始する。ドリーバーデンを狙うにはミノーが一番だが、大きさは7センチくらいのが良いようで、9センチに反応はなかった。ここで昼食をとる。

ヤナ(梁) ドリーバーデンが釣れた。

バスキンリバーのデッキの場所に移動する。川の中には数尾のシルバーが見えるのだが、私のルアーには全く反応しない。逆にルアーが近づいてくると逃げる始末だ。まったくお手上げだ。宿に戻り、昼寝でもするしかない。

バスキンレイク入口のに掲示板に、ヤナを通過したシルバーの数が毎日記入される。右の欄が昨年の数字だが、今年はその3分の1程度だ。 バスキンリバー沿いに熊の警告看板が立てられている。

大木さんと一緒にオールドパワーハウスというレストランで夕食を頂く。この店は日本人が経営していて、寿司や天ぷらなどの日本食をおいしく食べることができる。木曜だというのに大勢のお客が来ている。彼らは箸を上手に使いながら寿司を食べていた。白石さんは銀ダラ定食、私はカツ丼を注文する。去年と同じオーダーだ。カツ丼が美味しい!

カツ丼 銀ダラ定食

9月10日 金曜日

今日は釣りの最終日だ。今日こそ、熊が出ようが出まいが必ず1尾釣るぞという意気込みで、崖下のポイントに入る。6時45分、釣りを開始。しかし、今日も熊が出た。釣り始めて間もなく、下流からやってきた。高台に避難する。私たちの対岸で20分ほど鮭を追いかけていたが、やがて上流に立ち去った。

下流に現れた熊 岸辺に座り、鮭を食べている。

熊がいなくなったので、これからだと気合いを入れ直して釣りを再開する。しかし、30分ほどでまたも別の熊が下流から現れた。この熊も我々の目前で鮭を捕まえようとしている。

冷たい水もものともせず、鮭を捕まえる熊 なかなか鮭は捕まらない。

熊はなかなか鮭を捕まえられず、川の中をあちらへこちらへとうろうろしている。30分近く居座っていたが、やがて上流へといなくなった。たいして大きくもない川に2頭の熊、あまりに濃い。

熊は泳ぎが上手だ。 水中でも見えるのだろうか。Olds River

川から上がり、立ち去るか。 熊が鮭を食べた跡

なんとか気を取り直して、釣りを再開する。川の中にはシルバーが5,6尾見えるのだが、ルアーはまったく無視されている。熊があれだけ騒いだ後では無理のようだ。朝のゴールデンアワーを、すっかり熊に奪われてしまった。数人の釣り人がやってきたので、これで退散することにした。

宿に戻ってコーヒーブレイク。今日の満潮は午後3時54分なので、これを狙って河口に行くことにした。上げ潮に乗って遡上してくるサーモンを狙うのだ。

バスキンリバーの河口 満潮を迎えつつあるバスキンリバー

河口は干潮から上げ潮に入るときで、川の水位が徐々に上がってくる。さっきまでは対岸に渡れたのが、今はもう渡れない。上げ潮目がけてキャストを繰り返す。しかし、何度キャストしてもルアーにはアオサがまとわりついてくるだけだった。昨日買ったコディアック・スペシャルにもアタリは来ない。今年は運に見放されてしまったようだ。今日はコディアックからアンカレッジに移動しなければならないので、少し早めに納竿した。

来年は良い釣行になりますように。

満潮間近の河口 さっきまで渡れた対岸にももう渡れない。 川の中には海草が生えている。

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