2017年 秋 コディアック


2016年はキングサーモンを狙って7月にコディアックに出かけてきたが、2017年は再びシルバー狙いでコディアックに出かけてきた。アラスカのどこで何を狙うかは実に多彩な選択肢があるが、自分の力だけでしかも釣果が望める場所はそう多くない。アンカレッジの市内でも鮭は釣れるが、ラシュアワーの中で釣り人を掻き分けての釣りになる。人も多くなく、それでいて魚が釣れて、街からも遠くない、そんな条件を満たす場所となると極めて限られるだろう。そんなわけで、またコディアックを訪れることにした。

9月1日 金曜日 曇時々雨

デルタ航空166便は予定通りに成田空港第一ターミナルを出発し、約9時間の飛行の後にシアトルに到着した。シアトルでの入国審査は昨年と変わっていて、かなり自動化が進行していた。顔写真の撮影や指紋登録、パスポートの確認は専用機械の前で自分で行う。乗客は手続き終了のレシートを出口にいる係員に提出すれば入国審査は完了だ。アメリカ人とESTA2回目以上の外国人がこの機械を利用することができ、審査時間が大幅に短縮されていた。

シアトルを11時40分に飛び立ち、アンカレッジには14時20分に到着する。コディアックへの飛行機は17時35分発なので、約3時間の待ち時間があったので、空港の外に出て一朊することにした。外の喫煙所には禁煙を勧める広告があった。


午後7時近くにコディアックの空港に到着した。荷物が出てくる間にレンタカーを借り出し、出てきた荷物を積み込んで宿泊先のシェリコッフロッジに向かった。宿のチェックインを済ませて荷物を部屋に置いてから、休む間もなく滞在中の食糧や飲み物を買い出しに出かけた。今日から一週間の釣り三昧の生活が始まる。

午後9時頃ベッドに潜り込んだが、階下にあるバーの音楽が部屋に響いてきた。金曜日の夜だから仕方ないのだが、これから毎朝早く起きなくてはならないことを考えると睡眠は確保しなくてはならない。ホテルの受付に部屋の変更をお願いしたが、あいにくこの日は満室なので明日のチェックアウト後ということになった。音楽のボリュームを少し絞ってもらい、部屋へと引き返した。音は相変わらず響いていたが、長旅の後だったのであっと間に眠りに落ちた。

9月2日 土曜日 曇り時々雨

午前6時に起きて朝食を済ませ、7時に宿を出発した。今日の目的地であるバスキンリバーのブロウクンブリッジに向かう。この場所は公園の一角に有り、駐車場やトイレが整備されていてとても便利な場所だ。スピナーをセットして、早速釣り開始だ。先週からの雨で川の水量はかなり増えていて、普段は河原になっているところまで水が来ていた。これなら大いに期待がもてる。


しかし、魚からの反応は全くない。スピナーの色を変えたりキャストの場所を変えてみたが、シルバーのバイトは全くなかった。暫くしてやっとバイトがあったが、引きは弱くシルバーとは思えなかった、引き寄せてみると、メスのピンクサーモンだった。リリースしようかどうか迷ったが、魚体が銀色で美しく、また今日の低調ぶりを考えるとキープしておいた方がよさそうだった。

少し上流に移動することにした。川の中を歩きながら数百メートル上流に移動する。そこでキャストを開始して間もなく、上流から若者が下ってきて、「3,400ヤード上流に熊がいる。こちらに下ってきている。《と教えてくれた。急いで元いた場所に戻った。そこには大勢の釣り人がいるので心強い。少ししてから若者の言葉通り、上流から熊がやって来た。私達の2,30メートル上流で熊は川に飛び込み、ピンクサーモンを捕まえていた。そして捕まえた鮭を口に咥えて、ブッシュの中へと消えていった。


11時のチェックアウトに合わせて宿に戻る。231号室から244号室に移動だ。宿の自室で軽食の昼食を済ませたから、オルズリバーに行くことにした。宿から川までは約1時間の距離だ。橋の下のポイントで暫く粘ってみたがアタリはなかった。少し下って左岸側の深みをスピナーで攻めてみたところ、バイトらしき反応があった。しかし、針は口にかかっていなかったようで、すぐにバレてしまった。針の先には銀色の鱗だけが残っていた。

この川の河口に移動した。釣り人はほとんどおらず、家族連れが一組いただけだった。スピナーを外してスプーン&タコベイトに付け替えてキャストを開始した。これはいけるかもしれないと期待を持って作ってきた仕掛けだったが、全く効果はなかったようだ。暫くして水面を注視すると、水面にハゲ頭が3つ並んでいた。アザラシだった。鮭を追って海からやって来たのだった。彼らが現れては釣りはあきらめるしかない。早々に引き上げることにした。


スーパーのセーフウェイで夕飯を買う。デリカの上海セット(中華料理)と野菜サラダ、それに白ワインで夕食だ。上海セットは多すぎたので半分を翌日に回すことにした。ベッドの上で今日の釣りを反省しているうちに寝入ってしまった。


9月3日 日曜日 雨、雨、強風

日曜日のバスキンリバーはフィリピン人で賑わうので、オルズリバーに行くことにした。早めに朝食を済ませ、午前6時45分に宿を出発する。途中の道は暗い上に雨や霧が立ちこめていて、とても運転しづらい。橋の下には既に数人の釣り人がいた。風がとても強いので、キャストしやすいスピナーで釣りを開始した。1時間キャストを続けたが、一度バイトがあっただけで釣果はなかった。風雨がとても激しくなってきたので車まで戻り、天気の回復を待つことにした。しかし、2時間近く待ったにもかかわらず天候に回復の兆しはなかった。嵐の中、もう一度トライしてみたが、やはり魚からの反応はなかった。仕方なく用意してきた昼食を車内で食べる。強風が車体を揺らしていた。


天気の良くなる兆しは全くなかった。しかし時間を徒らに無駄にするのも悔しかったので、意を決して再び車から出る。風雨の中でキャストを続けるうちに、やがて重いアタリがやってきた。シルバーのように川の中を走り回ることなく、ただ重くグイグイと引いている。これはチャムサーモンに間違いない。それもかなりの大物だ。シルバーのように暴れ回るということがないので、徐々に岸へと引きずり寄せてくる。80センチを越える大きなチャムサーモンだった。スピナーはしっかり口に刺さっていた。それを外してリリースした。

風雨が一段と強くなってきたので、再び車に戻る。そこへ老人の二人組が川から上がってきた。両方の手には良型のシルバーサーモンを1尾ずつぶら下げていた。彼らはこの悪条件の中で釣果を上げていたのだった。彼らの仕掛けを見てみると、いわゆるボッバーフィッシングだった。これはウキを使ったフライフィッシングで、遊動式のウキの下方にジグヘッドのフライを結んで流して釣るやり方だ。彼らはこの方法で釣果を上げていたのだった。私は宿に戻る途中に釣具店によって、ウキを二つ購入した。ジグヘッドは持参していたので、明日はこれを使って再びトライだ。昨日の残りで夕飯を済ませながら、明日の構想を練り上げた。


9月4日 月 雨時々曇り

6時30分に宿を出発する。オルズリバーへの道はあい変わらず暗く雨のせいで運転しづらい。今日は昨日の釣り人の仕掛けをまねて作ったウキ仕掛けだ。午前7時30分、橋の下のポイントで釣り開始。昨日の二人組はここではなく少し下流のポイントで釣果を上げたのは間違いなかったが、橋の下の釣り人が目の前でシルバーを釣っていたので、とりあえずここからスタートすることにした。


浮き下を90センチから1メートルくらいにして、ピンクのジグを付ける。これをここぞと思う場所の少し上流から流していく。やがてウキが水中に消し込まれる。すかさずロッドを立てて合わせると、強烈な引きが返ってきた。懐かしいシルバーの引きだった。何とか針を外そうと水面を大きくジャンプしたり、川の中を右に左に泳ぎ回る。これをバラしてはならずと、慎重にしかし確実に岸に寄せてくる。良型のシルバーサーモンだった。すぐにしめてストリンガーにつなぎ血抜きをする。

川は連日の降雨でかなり増水していて、川幅がとても広くなっている。川の中程を流していくと、すぐにウキが消し込まれる。今度はメスのシルバーだった。ここで本日のバッグリミット(制限尾数)となる。ここから先はキャッチ&リリースだ。昨日までの上漁がウソのように、ほとんど入れ食いに近い状態で釣れ続く。誠に贅沢な話だが腕がかなりだるくなってきたので、このへんで終了することにした。重い魚を持って車に戻り、アメリカンリバーまで行って川の様子を見ながら手製の昼食をとる。


昼食後にバスキンリバーに行く。バスキンリバーでジグを試してみたのだが、いつものウッドデッキのポイントを流しても釣れず、ブロウクンブリッジのポイントでも釣れなかった。午前中の爆釣がウソのようだった。河原には熊が食い散らかしたピンクサーモンの残骸が散乱していた。


そのうちに2頭のアザラシが目の前に現れた。彼らも鮭を探しながらやってきたのだろう。暫くの間上流や下流を行ったり来たりしていたが、やがて海へと帰っていった。彼らも釣果には恵まれなかったようだった。


バスキンリバーの河口まで行って粘ってみたのだが、やはりここでも釣れなかった。数人の釣り人がいたが、誰も釣果はなさそうだった。河口の手前は公園になっていて、トイレや四阿(キオスク)が設置されている。駐車場にはいつも多くの車が止まっていて、釣り人気の高さがうかがえる。まあ、遊びの少ない島の中だから当然と言えば当然のことだが。



バスキンリバーの上流には湖があり、そこが遡上した鮭達の産卵場になっている。湖の吐き出し口(アウトレット)には簗が設置されていて、遡上してくるシルバーサーモンの数をカウントしている。遡上数が少なければ禁漁にし、多ければ制限尾数を増やす。バスキンリバーにはこれを含めて簗が2カ所設置されている。


簗の少し下流に大きなワンドがある。そこにも寄ってみる。ちょうど地元の釣り人らしきグループがポントゥーンで釣りを始めるところだった。ポントゥーンは一人乗り(2人乗りもある。)の小型ボートで、巨大な浮き袋みたいなものだ。チューブでのバスフィッシングは日本でも流行っているが、このポントゥーンはあまり見ない。私も一度チャレンジしたいと思っている。


夕食は外に出て、ベトナム料理の”Noodle”に行く。この店は最初来た時は中華料理店だったが、次には多国籍料理店になり、この店になってから3年目になった。なかなか人気のようだった。

9月5日 水曜日 雨時々曇り 最高気温11度 最低気温8度

午前6時に宿を出て、今日もオルズリバーに向かう。コディアック島には車で行ける川がいくつかあるが、シルバーが釣れる川はバスキンリバー、オルズリバー、アメリカンリバー、パサギシャクリバー、モナシュカリバーなどだが、いつでもどこでもというわけにはいかない。その年々の遡上状況や川の状況などで釣れる川や釣れない川がある。その川が釣れるという話が伝われば、釣り人はそこへ殺到する。オルズリバーのことも次第に知れ渡ってきたのか、日を追う毎に釣り人が増えてきている。そのために私の宿を出る時間が少しずつ早くなってくる。雨と霧の中をオルズリバーへと向かった。

7時に釣りを開始。昨日と同じ仕掛けだが、川はかなり減水してポイントは川の中央の流心のようだ。そこにジグを流していくとすぐにバイトがあった。しかし、シルバーではなく大きなチャムサーモンでジグはしっかり口に刺さっていた。やがて待望のシルバーがヒット。針を外そうとして暴れるシルバーをロッドのためでこらえながら、少しずつ岸に寄せてきて無事にランディングした。次のヒットは小型だったのでこれはリリース。その次のシルバーは大きかった。引きは今回の中で一番強く、きつめしているリールのドラグから糸が少しずつ引き出されていく。ポンピングを繰り返しながら少しずつ岸へと寄せてくる。この緊張した魚とのやり取りこそがシルバーサーモン釣りの醍醐味だ。何尾も釣った後なので、心に少しの余裕を持って醍醐味を味わっていた。やがて岸に上げられたシルバーは良型のオスだった。これで本日の定数を達成した。釣り始めて1時間くらいしか経っていなかった。


私の隣でドイツ人と思われる年配の釣り人が悪戦苦闘していた。どうもサーモン釣りはあまり慣れていないようで、仕掛けもイマイチだった。彼に頼まれたので仕掛けを手直ししてあげた。彼が釣れることを祈りつつ、釣り場を後にした。釣れた魚を水産加工会社に持ち込んで、ワタの摘出、切れ身、真空パック、冷凍を依頼する。その後、コーヒーショップでコーヒーを買って手製のサンドイッチで昼食にする。

この日の夕食は日本人経営の和食レストラン”オールドパワーハウス”で頂く。ソバサラダとクラムチャウダーという至ってヘルシーな夕食だ。日本人のシェフと話をしたところ、モナシュカリバーに新しいシルバーの群れが入ってきているということだった。明日にでも行ってみるか。


9月6日 水曜日 曇り 最高気温13度 最低気温9度

オルズリバーに6時45分に到着した。既に数人の釣り人が橋下のポイントで釣りをしていた。ピンクのジグが痛んできたので、ピンクのハンマーヘッドのフライにオモリを足して釣りを開始した。昨日よりも減水していて、ポイントがよく分からなかった。魚からの反応がないので、少し下流のポイントに移動する。左岸側に深みのある場所で、魚が定位しやすい場所だ。ここでシルバーを一尾釣る。その後、またもや大きなチャムサーモン(白鮭)がフライに食いついた。これも大きなチャムでなかなかこちらに寄ってこない。釣り寄せると言うよりズリ上げるようにしてランディングした。釣り糸は5号を使用しているが、なかなか丈夫な糸だった。気がつくと、昨日の老人が傍らに寄ってきて釣りを始めた。彼もチャムサーモンを釣り上げていた。


さらに下流のポイントに移動した。ここは3日前に二人の釣り人が定数のシルバーを釣っていたと思われる場所で、右岸側に深みがあって魚が溜まりやすい場所だった。既に5、6人の釣り人がいて、岸辺には5尾のシルバーが並んでいた。彼らの釣りのスタイルは餌釣りとスピナーだったが、私は一番川下でジグの釣りを開始した。しかし、かなりしつこく粘ってみたが、私にアタリはこなかった。



午後12時、最初の場所に戻り、手製の昼食をとる。食後、近場でやってみたがアタリはなかったので街にもどることにした。帰る途中にいくつかの峠を越えるのだが、オルズリバーやその河口が一望できる場所があるのでそこに車を止めて景色を眺める。この海の中や川には何百何千のサーモンが泳いでいるのだろう。鮭、アザラシ、熊、そして人間が、この川を舞台に日々活動を展開しているのだ。



街に戻ってから水産加工会社に魚を持ち込んで魚の処理をお願いする。その後、昨日話があったモナシュカリバーに行ってみることにした。この川は島の北東部にあり、川を跨ぐ橋から河口までが釣り場になっている。既にたくさんの車が路肩に止まっていて、釣り人も大勢いた。私の対岸にいた女性がスピナーでシルバーを釣り上げていた。


ジグの仕掛けで早速釣りを開始した。しかし魚の反応はなかった。河口まで釣り下って行ったが、やはり魚からの反応はなかった。元の場所に戻り川の中を見てみると、たくさんのシルバーが泳いでいるのが見えた。先ほどまではいなかったのだが、新しい群れが来たようだった。ジグではだめそうだったので、ビーズでやってみることにした。最初少しビーズに注目するシルバーもいたが、やがてビーズが魚に近づくとプィッと逃げ出すようになった。これでは釣りにならない。時間も5時近くになったので、ここでやめることにした。


この日の夕食も昨日と同じオールドパワーハウスにした。少しタンパク質が上足しているようだったので、ソバサラダとカツ丼を注文した。このカツ丼がとても美味しく、久々に満腹感十分の夕食となった。明日は釣りの最終日だ。


9月7日 木曜日 曇り 最高気温12度 最低気温9度

オルズリバーに午前7時に到着。未明まで雨が降っていたが、今は止んでいた。昨日最後に行った下流のポイントに入る。始めはいつも通りにジグで釣り始めたが、全くアタリがない。隣の釣り人が黄緑色のスピナーでシルバーをヒットさせているのが見えたので、すぐに仕掛けをスピナーに変更する。これが功を奏して、最初の一投からシルバーがヒットした。ガツンというあたりではなくモゾモゾという感じだったが、合わせると強烈な引きが返ってきた。激しい抵抗の後、どうにかランディングする。次の一尾もピンクサーモンのスレ掛かりのようなアタリだったが、合わせるとこれまた強烈なファイトだった。魚の抵抗を竿一杯にためながら、リールを巻き続け魚を寄せてくる。良型のシルバー2尾をあっという間に釣ってしまった。


その後はキャチ&リリースで数尾釣り上げたが、他の方法が試してみたくなった。最初は北海道のアメマス釣りの定番であるエッグフライ。これをウキ釣りの要領でジグの代わりにセットして同じポイントを流してみたが、全く魚からの反応はなかった。次にスプーン。色々な色のスプーンをキャストしてみたが、これにも魚の反応はなく、たまにピンクサーモンがスレ掛かりするだけだった。


最後に試してみたのはスプーン&タコベイトだった。北海道の鮭釣りで使われている仕掛けだが、今回用に自作してみたものだ。果たしてこれにシルバーが食いついた。スプーンが良かったのかタコベイトが良かったのかは上明だが、これでも釣れることが分かり嬉しくなった。シルバーの口から針を外して、そっとリリースした。


このポイントは人気があるようで、上流側にも下流側にも釣り人が集まっていた。釣れている場所に人が集まるのは当然で、私の隣で釣っていた人は上智大学で教鞭を取っていたとのことで、流暢な日本語で話しかけてきた。彼にスピナーの色を聞かれたので、今は黄緑がいいらしいと告げた。午前10時30分、早々の終了となった。これからホテルに戻って濡れた釣り道具を乾かしたり、衣類などのパッキングをしなくてはならない。


魚を加工会社に持ち込んで処理を依頼する。滞在中に釣り上げた魚は明日の午前6時30分に引き取りに来ると打ち合わせした。

9月8日 金曜日 曇り時々雨 

午前6時30分に水産加工会社で魚を受け取る。魚は50ポンド1箱とそのハーフサイズ1箱の2箱になっていた。それらをそこから少し離れた運送会社に運び、アンカレッジまでの輸送を依頼する。そこから先は別の運送会社が日本に送ることになっている。

アンカレッジへの飛行機はほぼ予定通りに到着した。飛行機の運航は常時天候に左右されるので、遅延やキャンセルはいつも絶えない。乗り継ぎを重ねる私の旅ではこのことが常に大きな足かせになっていたが、今、それが思い出になりつつあった。

私のアラスカ釣行は今回をもって終了する。2001年から通い始めたアラスカだが、あれから毎年訪問を繰り返し延20回を超える釣行となった。最初は釣り方も何も分からないままでのスタートだったが、いつしか現地に友人ができ、今では一人でもどうにか釣りが楽しめるようになってきた。物事にこれで満足というのはないと思うが、いつかは引き時というものがあるような気がする。アラスカ釣行には欠かせないデルタ航空の航空運賃は毎年のように実質的な値上げを行っていることに加えて、私の体力的にもアラスカは段々遠くなってきている。ということで、今回の釣行をもって最後とすることにした。

そこでここを去る前にコディアックで最初に釣りをした場所を訪ねることにした。バスキンリバーにあるウッドデッキは、私がコディアックで最初に釣りをした場所だった。ここで何尾ものシルバーサーモンを釣り、それからコディアック通いが始まったのだった。最も思い出深い場所の一つだ。川の中にはいつものようにたくさんのピンクサーモンが泳いでいた。



アンカレッジからシアトルへの便を待つ間に空港で昼食を済ませる。紅鮭のハンバーガーだった。午後9時にシアトルに到着した。シアトルではいつものキングス・インに泊まる。ここにも随分泊まったものだ。遅い夕食を済ませてからベッドに入る。明日は一日観光の予定だ。


9月9日 土曜日 曇り 

午前10時15分にシアトル美術館に行く。私が参加するツアーは、ここの中2階が集合場所になっていた。美術館では草間弥生の展示会が開催されていて、入口には長蛇の列ができていた。彼女はアメリカで大変人気があり、後日聞いた話ではこの日の展示物は即日完売になったそうだ。


ツアーは昨年と同様にマーケットプレイスの中の美味しいものを食べ歩くフードツアーで、参加者は地元の夫婦と私の3人だった。マーケットプレイスの歴史などの説明を受けながら、マーケートの中の色々な店を見て回る。もちろん1人でも回れるが、人気のある店にはどこでも長蛇の列ができていて、並んで買って食べるのは大変だ。このツアーならガイドさんが別ルートでサッと用意してくれるので、並ばずに出来立てを食べることができる。


僅か2時間余りの間に8つの店を訪れた。1人で行ったら時間的にもお腹の容量的にもそんなに沢山の店を回ることはできない。私達が食べるのは試食サイズなのだが、8つの店を回るうちに満腹になってしまった。参加費は50ドルほどだが、とてもリーズナブルといえるだろう。


ツアーの後で地下バスに乗ってチャイナタウンにある紀伊國屋に行った。10月に行くアメリカ東部の地図が欲しかったのだが、店内には漫画を中心にした若者向けの書籍しかなかった。チャイナタウンではお祭りが開かれるようで、あちらこちらで祭りの飾り付けが行われていた。


チャイナタウンに隣接するジャパンタウンも訪ねてみた。ここも昨年訪れていたが、どの店も健在だったので安心した。ジャパンタウンは以前がかなり広い範囲にあったが、今はかなり小さな一角だけになってしまったようだ。その分チャインタウンが広がり、中国人が増えている。



午後7時からはマーケットプレイスの入口近くにある Can can でディナーショーを堪能した。5,60人くらいしか入れない小さな劇場だが、その分とても間近でダンスを見ることができる。目の前だけに迫力十分で、ダンサーの息づかいまで感じられた。客のほとんどは女性で、男性は3人しかいなかった。

9月10日 日曜日 晴れ 

午前8時55分で空港へのシャトルバスを予定していたが、指定された場所にバスは来ず、代わりに1台の高級車が近づいてきた。何とそれが送迎車で、車内の後部座席には妙齢のご婦人が座っていた。僅か18ドルで高級車に乗って空港まで行くことができた。シアトル・タコマ空港での搭乗手続きは入国審査同様に自動化が進んでいて、チェックイン終了のレシートを持って荷物を預けるだけの手続きだった。おかげで搭乗までの待ち時間がたっぷりできたので、空港の外にある喫煙場所に行く。もうシアトルに来ることもないだろうと思い、タバコの煙だけでなくシアトルの空気もたっぷり吸い込んだ。飛行は予定通り、13時に空港を飛び立った。日本到着は月曜日午後3時55分になる。



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