伊那、木曽福島を旅する



2016年11月11日〜2016年11月13日 2泊3日

一日休暇を取って、金曜日から二人で長野県に行ってきました。長野県伊那市から木曽福島、南木曽を回ってきました。当初は福島県の喜多方市と会津板下町に酒蔵巡りに行く予定でしたが、酒蔵に行っても目的のお酒が買えないことが分かり、急遽伊那市方面に変更したのでした。

会津坂下町にある廣木酒造は清酒「飛露喜」などの銘酒を醸造していますが、生産量が少ないのでなかなか購入できません。楽天市場などでは4合瓶が7000円前後の価格で売られていますが、なかなか手が届きません。それで蔵元へ旅行を兼ねて行こうと思ったのですが、蔵元や地元の酒屋でも購入困難であることが分かったのであきらめました。せっかく休みを確保したので、それではと日頃愛用している加工寒天の製造会社「伊那食品工業株式会社」に行くことにしました。

伊那食品工業株式会社は「かんてんぱぱ」ブランドで知られた寒天加工品を中心にした食品会社で、長野県伊那市の本社を含め、全国に13の工場、営業所があります。我が家では手軽に食べられるダイエット食品として、10年以上愛用しています。本社敷地には併設の工場のほかにショップやレストラン、ギャラリー、ホールなどの沢山の施設があります。これらを総称して「かんてんぱぱガーデン」と呼ばれ、ほとんどの施設が一般に開放されています。今回はここの訪問をメインに、ついでに中山道の旧宿場町、木曽福島や妻籠などを回ってくることにしました。


11月11日 金曜日

朝はゆっくり7時頃家を出ました。国立府中ICから中央高速道路に入り、ひたすら西に進みました。駒ヶ根ICには10時前に着き、そこからナビの指示通りに車を走らせ、広域農道を約15分ほど走ると「かんてんぱぱガーデン」に到着です。まだ早い時間だったので駐車場は空いていました。このガーデンは広域農道を挟んで両側に広がっていて、広大な敷地の中には本社の社屋の他に、北丘工場、かんてんぱぱショップ、ホールやギャラリーなどが点在しています。まずは北丘工場から見て回ることにしました。

工場の一部がガラス張りになっていて、製造の様子を垣間見ることができます。工場にはショップが併設されているので、見学の後は製品を購入することができます。入口近くには試食コーナーがあって、寒天でできたババロアを試食することができます。この会社の製品はいつもは通販で購入していましたが、今回は実際に手にとりながら買うことができました。


敷地の西側にはギャラリーやホール、健康パビリオン、ミュージアムなどが点在しています。広域農道を渡ってそれらを見て回ることにしました。敷地の至る所に立派な植栽が施されていて、それらが一斉に紅葉を迎えていました。カエデは鮮やかな赤に銀杏は黄金色に染まっていて、常緑樹の緑とのコントラストが見事でした。この庭を見るだけでも来る甲斐があるかもしれません。


最初に訪れたミュージアムはボタニカルアート作家の野村陽子氏の美術館になっていて、彼女の見事な細密画が展示されていました。花びらの一枚一枚、茎から毛根に至るまで見事に描写されていました。これらの素晴らしい作品の数々を無料で見ることができます。休憩所兼ねたサロンからは、ガラスの窓越しに深まりゆく秋の風景を堪能することができました。


正午を過ぎてお腹が減ってきたので、ガーデン内にあるそば処「栃の木」で昼食を取ることにしました。敷地内にはこのそば処を含めて4カ所もの食事処があり、寒天を使った料理を中心に和洋の食事を楽しむことができます。私達は迷わずそばにすることにしました。


折から新そばの時期なので、二人でせいろを注文しました。そばはこしがあって風味に満ちており、量的にも食べ応えがありました。さすが信州そばと二人で大いに感心しました。仕上げに寒天を使ったデザートを注文し、目の保養だけでなく胃の保養(?)までしてしまいました。

左下の写真がデザートです(そばとは別料金ですが、何と500円で味わえます。)。右下の写真は男性用トイレの小用便器の前にあった「お願い」です。ちょっと洒落ているので、思わず撮ってしまいました。


お腹を満たしお土産も十分買ったので、次の目的地に向かうことにしました。中央アルプス駒ヶ岳の入口とも言うべき千畳敷カールを見に行くのです。駒ヶ岳の手前には標高2931メートルの宝剣岳があり、その山の中腹までロープウェイが架かっています。これに乗れば約8分ほどで頂上駅の千畳敷駅まで行くことができます。

ロープウェイの麓駅であるしらび平駅までの道は一般車通行禁止なので、手前の菅の台バスセンターに車を止めて、しらび平駅まではバスで行きます。バスの往復料金とロープウェイの往復料金の合計は3900円でした。


麓のしらび平駅は標高1662メートル、頂上駅の千畳敷駅は標高2612メートル、標高差約1000メートルを僅か8分で登ります。駅を下りてびっくりしました。辺りは一面の雪です。遙か向こうを見渡せば、宝剣岳を中心に千畳敷カールが広がっています。駅の周辺は広場になっていて、春や夏にはお花畑が広がっているとのことですが、今は一面の雪でした。


駅近くには駒ヶ岳神社があり、駅の隣にはホテル千畳敷が立っていました。このホテルは収容人員72名で16室もあり、展望室からは駒ヶ根の市街が一望できます。夏に猛暑を逃れるのには良いところでしょう。でも、冬はちょっと寒いかもしれませんね。


30分ほど景色を堪能してから、下りのロープウェイに乗り込みました。頂上駅の気温は3度でした。駒ヶ根市街の向こうには南アルプスの山々が衝立のように連なり、その向こうには富士山が頭を出していました。御嶽山は宝剣岳の向こう側にあり、こちら側から見ることはできません。


今宵の宿は木曽町にある「自由旅クラブ 木曽三河屋」です。中央高速の駒ヶ根ICから伊那ICまで高速道路を走り、国道361号の権兵衛トンネルを経て国道19号に入ります。木曽町は木曽川沿いに広がる中山道の旧宿場町で、かつての宿屋や関所跡、代官屋敷などが残っていて旅の情緒を盛り上げます。夜になって町の角々にある行燈に灯がともるようになれば、江戸時代の旅人が長い一日を歩き続けた後に行燈の明かりを頼りに一夜の宿を探していた様子が偲ばれます。私達も行燈に誘われるように町の中を散策し、宿に帰る頃には私の両手に地元の銘酒「七笑」の4合瓶がぷら下がっていました。


11月12日 土曜日

中山道の木曽路といえば塩尻宿から中津川宿までの木曽川沿いの旧宿場町を訪ねる旅になりますが、今回は木曽福島(福島宿)に加えて妻籠宿を訪ねました。福島宿から妻籠宿までは約46キロあり、途中には上松宿、須原宿、野尻宿などがあります。時間の都合で今回は妻籠宿だけに絞りました。宿を8時に出発し、約1時間で妻籠宿に到着しました。


東海道は53次ですが、中山道は69次で妻籠は江戸から数えて42番目になるそうです。地元の方々の集落保存活動への努力が実を結び、江戸時代の「町並み」が今も残されています。「売らない・貸さない・壊さない」を住民憲章にしているとのことです。観光客である私達は無責任に景観を楽しんでいますが、古い家を維持することはとても大変なことでそこで生活するのは更に大変なことだと思いました。


妻籠宿には他の宿場町と同様に本陣と脇本陣があります。本陣は島崎藤村の母の生家で、藤村の次兄が養子に入りました。現在の建物は平成7年に復元されています。脇本陣は明治10年に建て替えられ、国の重要文化財に指定されています。道沿いにはこのような由緒ある建物が連なっていて、旅籠だった建物の中では地域の特産品や名物などが売られていました。


通りの一角には昔の郵便局と現役の郵便局が併設されていて、旧郵便局は郵便資料館になっていました。歩き始めた頃は時間が早かったせいか観光客はまばらだったのですが、時間が経つにつれて段々と人が増えてきました。外国人の観光客も多く、欧米人、アジア人など多彩な国々から来ているようでした。


右上と左下の写真は一連の坂道になっていて、「枡形(ますがた)」と呼ばれる特殊な作りになっています。道を意図的にクランク状に作り、戦いの時には軍勢が通りにくいようになっています。道が防衛の一翼を担っていたのです。戻る道の奥には紅葉に染まる山並みが遠望できましたが、寒く厳しい冬の訪れがそこまで来ているようでした。


妻籠観光を終えて、今夜の宿泊地である諏訪に向けて国道19号を北上しました。木曽路にはたくさんの道の駅があり、妻籠から塩尻までの間には6カ所の道の駅があります。二人とも道の駅の大ファンなので、寄らずに済ますことができません。最初に道の駅「大桑」によって木曽牛のランチにしようかと思ったのですが、あいにく団体客の貸し切りでだめでした。そこで道の駅「日義木曽駒高原 ささりんどう館」でランチにしました。展望の良い窓際の席で、御嶽山を見ながら季節限定の名物「すんきそば」を食べました。

「すんきそば」のすんきはカブの葉のつけ根の部分を発酵させたもので、これを細かく切ってそばに乗せます。赤カブ漬けのような味がして、さっぱりとした食感を味わうことができます。家内はカツ定食を頼みました。


6カ所目の道の駅が塩尻市の「木曽ならかわ」でした。通常の道の駅に加えて「木曽くらしの工芸館」が併設されていて、木材加工品や漆工芸を中心にした工芸品が展示販売されていました。1階は比較的小物が中心ですが、2階には大型の家具などが展示されていました。また地元の工芸師達の作品紹介コーナーもあって、素晴らしい作品が展示されていました。


長野県の漆の生産量は全国第4位だそうですが、木曽福島は木曽漆器発祥の地で1975年に経済産業省の伝統的工芸品に指定されています。工芸館の裏手にはショップを兼ねた喫茶店があったので寄ってみました。普通のコーヒーの他に漆の実をローストした「うるしコーヒー」があり、フィンランドのドーナッツとのセットがあったので注文してみました。漆の実のコーヒーは初めての体験でしたが、ローストした豆の臭いがほんのり香ってきてなかなかの味でした。


店の裏手から駐車場に戻る途中で、大きな株のムラサキシキブがありました。ムラサキシキブは落葉性の低木ですが、秋にこのような紫色の実をつけます。見事な株でした。ここまでで木曽路の道の駅6カ所訪問を完遂したので、今宵の宿泊地諏訪に向かいます。


国道19号北上して塩尻ICから中央高速に入り、諏訪ICで下りれば諏訪はすぐです。宿泊先の諏訪レイクサイドホテルは諏訪湖の周遊道路沿いに有り、名前のとおりに目の前が諏訪湖です。チェックインを済ませて荷物を部屋に置いてから、湖の周りを散歩することにしました。


諏訪湖と言えば真冬の「御神渡り」が有名ですが、結氷するのはまだまだ先で、今は遊覧船やワカサギ釣りの釣り船が湖に浮かんでいました。外は結構寒かったのですが、今日は土曜日ということもあって、湖の周りや近くの公園は家族連れや若いカップルなどで賑わっていました。


夕飯は6時半から始まり、宿泊客が1階のレストランに集まっていました。館内は静かだったので今日の宿泊者は少ないのかと思っていましたが、かなり多くの宿泊者がいるのに驚きました。まずは地元の銘酒「真澄」で乾杯です。夕食は色々なご馳走の他に鍋バイキングがついていて、塩味、醤油味、味噌味、タンタン味など好みの味で鍋を楽しむことができます。大きなテーブルに野菜や肉類などの具が並べてあって、何回でもお代わりできます。私は野菜中心でしたが、色々な味で楽しむことができました。



11月13日 日曜日

翌日は朝食を7時に済ませ、8時に宿を出発しました。帰りの中央高速の上りは午前中なら快適に走ることができます。追越し車線を低速で走る車にはいつも悩まされますが、それらをかわしながら2時間半ほどの運転で帰宅できました。今年は恒例になっている年末年始の旅行には出かけないので、今回の旅行はその代わりというところでしょうか。




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